今更聞けない!水魚の交わりとは何?三国志に由来する故事成語

2016年1月25日


 

苦肉の策(笑)

 

過去に起きた出来事や、その時に発せられた印象的な言葉で、

現在まで、語り伝えられている事柄を故事成語と言います。

故事成語には、日本では余り知られていないモノもありますが、

今回はその中でも割合メジャーな水魚(すいぎょ)の交わりについて解説します。

監修者

ishihara masamitsu(石原 昌光)kawauso編集長

kawauso 編集長(石原 昌光)

「はじめての三国志」にライターとして参画後、歴史に関する深い知識を活かし活動する編集者・ライター。現在は、日本史から世界史まで幅広いジャンルの記事を1万本以上手がける編集長に。故郷沖縄の歴史に関する勉強会を開催するなどして地域を盛り上げる活動にも精力的に取り組んでいる。FM局FMコザやFMうるまにてラジオパーソナリティを務める他、紙媒体やwebメディアでの掲載多数。大手ゲーム事業の企画立案・監修やセミナーの講師を務めるなど活躍中。

コンテンツ制作責任者

おとぼけ

おとぼけ(田畑 雄貴)

PC関連プロダクトデザイン企業のEC運営を担当。並行してインテリア・雑貨のECを立ち上げ後、2014年2月「GMOインターネット株式会社」を通じて事業売却。その後、「はじめての三国志」を創設。戦略設計から実行までの知見を得るためにBtoBプラットフォーム会社、SEOコンサルティング会社にてWEBディレクターとして従事。現在はコンテンツ制作責任者として「わかるたのしさ」を実感して頂けることを大切にコンテンツ制作を行っている。キーワード設計からコンテンツ編集までを取り仕切るディレクションを担当。


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水魚の交わりとは、どういう意味か?

07水魚の交わり01

 

水魚の交わりとは、水と魚という言葉でも分かる通り、

お互いにとって、なくてはならない存在の事を意味します。

魚は水なしでは生きられませんから、どうしても

水の中にいなければいけないという事です。

 

その事から、二人の人間が、常に一緒で片時も離れない、

またいつも一緒で仲睦まじい様子を水魚の交わりと表現します。



水魚の交わりという言葉はどうして生まれたの?

三顧の礼 ゆるキャラ 孔明

 

この言葉は、三国志の時代である西暦208年頃に荊州で生まれます。

当時、荊州牧の劉表(りゅうひょう)の客将だった劉備(りゅうび)は、

隆中(りゅうちゅう)という田舎で、天才軍師の諸葛亮孔明

(しょかつりょうこうめい)を三回も訪問し、これを軍師として迎えました。

 

それからというもの、劉備は孔明と語り合って尽くせず、

どこへ行くにも一緒という状態になったのです。

 

水魚の交わり

 

しかし、仲が良い二人を遠くから恨めしそうな顔で

見ている二人の人影がありました。

 

それは劉備が旗揚げした時からの義兄弟である、

関羽(かんう)と張飛(ちょうひ)です。

 

張飛「しくしくしく・・・・」

 

関羽「あら、何を泣いているの張子(ちょうこ)さん」

 

張飛「これが泣かずにいられるかい・・

じゃない、泣かないですむもんですか!関子(かんこ)さん!

あたい達の兄者が孔明に取られているのよ」

 

関羽「そりゃあ、最近の兄者は、口を開けば孔明、孔明だけど

いずれ、落ち着いて普通になるわよ」

 

張飛「ふん、随分冷たいのね、関子さん、ああ、そう言えば、

あなたには、曹操(そうそう)さんもいるものね、

どうでもいいんでしょ?兄者の事なんかさっ!」

 

関羽「なにをっ!!・・じゃない、何ですって!!

バカ張子! あれは曹操が言い寄ってくるだけだからね!

ちっとも好きじゃないんだからね!

拙者、、じゃない、、関子だって兄者一途なのよ」

 

張飛「なら、あたいと一緒に兄者に文句言いにいきましょ

あたいたちと孔明とどっちが大事なんだ!って聞いてやるのよ」

 

余りにも孔明と親しい劉備にジェラシー全開の

関羽と張飛は揃って劉備に文句を言いにいきます。

 

関羽「兄者!幾らなんだって、毎日、毎日、

孔明とベタベタし過ぎではなくて?」

 

張飛「昔は、いつも三人一緒のベットだったのに!

どうして、毎日、孔明、孔明なの!キーッ!」

 

劉備「おお、すまない、お前達、だが許してくれ、私と孔明は、

水と魚、お互いがいないと生きられないのだよ」

 

関羽・張飛「なーんだ!じゃあ、大丈夫でーす!!」

 

何で、関羽と張飛はあっさり納得したのか?

劉備 関羽 張飛

 

自分達と孔明とどっちが大事だと詰め寄られた劉備は、

ここで、水魚の交わりという言葉を出します。

 

それで、関羽と張飛はあっさり納得してしまうのですが、

何で、これだけで納得するのか不思議ですよね?

実は水魚の交わりには、もう一つの意味があるのです。

 

魚とは、恋人、配偶者という暗喩

09水魚の交わり03

 

実は、魚は繁殖力の強い生き物である事から、生産的な関係、

つまり、配偶者、恋人という裏の意味を持っているのです。

 

劉備にとっての孔明は女房や恋人であるから、四六時中一緒にいても

当たり前、だから、嫉妬してくれるな兄弟達よ。

水魚の交わりとは、そういう意味を含んだ言葉なのです。

 

ザックリ言うと、君達は私の兄弟、孔明は嫁、

立場が違うよ、と劉備は言いたかったのです。

 

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三国志ライターkawausoの独り言

kawauso 三国志

 

一般に水魚の交わりは、お互いに必要で離れられない

関係として、とらえられます。

一般に言う、水を得た魚も、この水魚の交わりに似ていて、

ある環境に入った人が、存分に力を発揮するという意味でもあります。

 

ただ、その隠喩として、恋人や配偶者との関係性があるというのは、

余り知られていないのではないでしょうか?

個人的に気になるのは、劉備が水魚の交わりと言った時に、

孔明はどんな顔をしていたのだろうという事です。

案外、孔明の入れ知恵で劉備がそう言っていたりしてね。

 

 

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台湾より南、フィリピンよりは北の南の島出身、「はじめての三国志」の創業メンバーで古すぎる株。もう、葉っぱがボロボロなので抜く事は困難。本当は三国志より幕末が好きというのは公然のヒミツ。三国志は正史から入ったので、実は演義を書く方がずっと神経を使う天邪鬼。

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