【三国夢幻演義 龍の少年】深いい解説その7「廬江の少年たち」

2019年1月27日


 

こんにちは。光月ユリシです。拙著「三国夢幻演義 龍の少年」に関心を持ってくださり、ありがとうございます。

物語も中盤に差し掛かって、様々な登場人物が孔明と関わり、孔明の役割もだんだん大きくなってきました。

物語に面白味を持たせるため、孔明少年にはいろいろな出会いを用意してあるのですが、今回は孔明が接する孝行者たちを紹介しましょう。

 

監修者

ishihara masamitsu(石原 昌光)kawauso編集長

kawauso 編集長(石原 昌光)

「はじめての三国志」にライターとして参画後、歴史に関する深い知識を活かし活動する編集者・ライター。現在は、日本史から世界史まで幅広いジャンルの記事を1万本以上手がける編集長に。故郷沖縄の歴史に関する勉強会を開催するなどして地域を盛り上げる活動にも精力的に取り組んでいる。FM局FMコザやFMうるまにてラジオパーソナリティを務める他、紙媒体やwebメディアでの掲載多数。大手ゲーム事業の企画立案・監修やセミナーの講師を務めるなど活躍中。

コンテンツ制作責任者

おとぼけ

おとぼけ(田畑 雄貴)

PC関連プロダクトデザイン企業のEC運営を担当。並行してインテリア・雑貨のECを立ち上げ後、2014年2月「GMOインターネット株式会社」を通じて事業売却。その後、「はじめての三国志」を創設。戦略設計から実行までの知見を得るためにBtoBプラットフォーム会社、SEOコンサルティング会社にてWEBディレクターとして従事。現在はコンテンツ制作責任者として「わかるたのしさ」を実感して頂けることを大切にコンテンツ制作を行っている。キーワード設計からコンテンツ編集までを取り仕切るディレクションを担当。


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二十四孝の一人、王祥

 

廬江郡で孔明と出会う少年・王祥くん。晋の時代に太尉に栄達する彼は瑯琊国出身で、

孔明と同郷です。少年時代、継母に嫌われながらも黙々と孝行に励みます。

 

例えば、リンゴの木を大切に育てるように言われた王祥少年は風雨の度に木に抱き

ついてそれを守ります。はい、やり過ぎです。

 

例えば、継母が雀の炙り焼きを食べたいとわがままを言った時、王祥少年の願いに

応えて雀数十羽が勝手に垂れ幕の中に飛び込んできたそうです。はい、偶然です。

 

例えば、継母がある冬の日に生魚が食べたいと言いました。王祥少年は服を脱いで

凍った川を溶かして魚を捕ろうとします。はい、またもやり過ぎです。

 

でも、継母はそんなに孝行を尽くす王祥少年を毒殺しようとするのですから、たま

りません。本来なら、児童虐待、毒殺容疑で逮捕事案です。ところが、王祥少年は

それにも懲りず、孝行を続けたのでした。

 



二十四孝の一人、陸績

 

陸績くんは硬骨漢・陸康の幼子です。六歳の頃に袁術と対面したという記録が残っ

ています。

 

陸績少年がおやつとして出された蜜柑三つを懐に入れ、退出しようとしてお辞儀を

した時、蜜柑が床にこぼれてばれてしまいました。袁術が見咎めると、陸績少年は

「母に食べさせてやりたかったのです」と答えて、袁術を感心させたそうな。

 

現代感覚で判断すれば、何も言わずにくすねちゃダメでしょ。いや、相手が袁術だ

から、いいのか。袁術が悪い奴だと知っての犯行なのか。いや、義行なのか。

とにかく、このエピソードも立派な孝行みたいです。

 

「龍の少年」では、このエピソードを収録し、その後日譚と併せて其之九で提示し

てあります。自分では、なかなかいいまとめ方だったかなと思っているのですが。

 

二十四孝の一人、黄香

 

黄香は後漢中期の人なので、孔明とは直接関わりがあるわけではありませんが、あ

る展開から、作中其之十一で言及しています。なので、二十四孝ついでに紹介して

おきます。

 

黄香少年の家は貧しい家でした。幼い時に母親を亡くし、そのせいもあって、父親

に篤く孝行を尽くしました。夏の暑い時は父の枕元で扇を仰いでやり、冬の寒い時

は前もって自分の体で布団を温めておきました。

 

そんな黄香少年の健気な孝行話は地元太守に耳に入り、その助けもあったのでしょ

う、勉学に励んで、やがて、都にも名声が届くほどの立派な人物となりました。

そして、貧乏少年だった彼は後漢王朝に仕えて郡太守にまで昇りつめるのです。

 

まさに後漢ドリーム。彼の孝行が栄達に繋がり、子孫繁栄に繋がったのです。彼の

おかげであの人やあの人やあの人があるのです。そんな彼の子孫たちがこの作品に

登場して、どう孔明と関わってくるのでしょうか。お楽しみに。

 

【独り言】

 

「二十四孝」は元代に編纂された孝行エピソード集です。漢代から三国時代にかけ

てのエピソードも多く、目を通してみると面白いかもしれません。孟宗竹のエピソ

ードなんか、機会があれば、作中に取り入れてみたいですね。

 

儒教の世界観では孝行は重要な美徳の一つ。これに欠ける者はどんなに才能が優れ

ていても、重用されませんでした。裏を返せば、このような孝行エピソードは広く

大衆に伝播され、名を為すきっかけにもなりました。少々盛り過ぎな面は否めませ

んが。

 

現代中国でも、親子の絆はすごく強い感じを受けます。日本以上に。親が子を甘やかし、

子は親に依存している感じも若干感じてしまいますが。まぁ、いいでしょう。

 

現代日本においても孝行は大切な美徳ですよね。親孝行はやっぱりしておくべきかと

思います。お父さん、お母さんに「ありがとう」です。見ず知らずのお年寄りにも親切

にしてあげましょう。オレオレ詐欺とか最悪の所業です。ダメ、絶対。

 

三国夢幻演義 龍の少年 第1話「命の山」見逃し配信

 

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