こんにちは。光月ユリシです。拙著「三国夢幻演義 龍の少年」に関心を持ってくださり、ありがとうございます。物語ではまた新たな出会いがあった孔明ですが、前回解説したように予章での出来事は資料が少なく、想像を交えて物語を描いていくしかありません。
ということで、今回は私が考えた展開とそれにまつわる人物を解説したいと思います。
稀代の人相見・許子将
許子将といえば、曹操を評価したことで有名ですね。許氏は高官を輩出する名族で、そこに連なる許子将は当時の人相見(人物鑑定)ではナンバーワンの名声を誇っていました。
彼は予州の人ですが、戦乱を避けるために南へ疎開します。孔明たちと同じです。しかし、長江を渡った後、劉繇に請われて彼の下で働くことになりました。これは、事実です。
許子将の人相見の能力は、この作中では、対象者の精神を覗き見る一種の特殊能力として描いています。曹操を評した時も、孔明を評した時も、彼らの精神内の心象光景を覗いて、その本質に言及しました。
作中では、彼は参謀のような役割もしています。具体的には言及していませんが、裏設定として、劉繇は彼の勧めで孫策対策のため、呉郡太守の許貢(許子将の兄の子とあるものの、信憑性は? 百度百科「許文化」より)と連携しています。そういうこともあって、一族の許靖がまず江南に頼った先が許貢だと思われます。
許氏は名族でしたが、許子将・許靖しかり、実は続々と江南に避難しています。丹陽に遷った許光は後に呉に仕えて光禄勲となったようですし、予章に遷った許氏からは許遜という有名な道士が輩出されます。
切れ者・劉曄の動向
後に曹操の軍師となる劉曄。彼は後漢を興した光武帝の子孫です。実は彼も許子将によって評価されています。これらの事実から、彼には許子将ともにまず皇族の劉繇に仕えてもらいました。
作中では、劉曄が曹操の下に使者として発った後のことは語られていません。
しかし、ここにも裏設定を用意してあります。それは・・・
劉繇の下に帰還する途中、鄭宝を説得にかかるも失敗、逆に彼によって拘留されます。鄭宝は劉繇を倒し、予章に割拠するという江南への渡河計画を考えていて、劉曄はその計画に巻き込まれてしまうのです。そして、友人であった魯粛を誘うように手紙を書かされます。(魯粛に鄭宝の下に来いという手紙を送ったという資料がありますので、それをこのようにアレンジしました)
そうこうしているうちに劉繇が死んでしまったので、鄭宝を殺して、劉勲に身を寄せ、最終的に曹操に仕えるというものです。
仏教普及に貢献? 笮融
笮融のイメージは「ザ・悪党」でしょう。恐らく皆様もそんな感じかと思います。
今でこそ仏教はメジャーで、穏健で、平和的イメージですが、漢代当時は、仏教はまだ伝えられて間もないマイナー宗教でした。
私は笮融は最初から仏教徒であったわけではなくて、徐州にいた仏教徒集団のリーダーになろうという野心を秘めて入信したのではないかと思います。もちろん、彼
らを戦力として利用するためです。徐州時代、笮融は運輸担当者でした。仕事柄、物資をちょろまかすことなど朝飯前。それらの物資を信者に分け与え、仏塔を建てたり、お寺を建立したりして次第にリーダーとして認められていったのでしょう。
悪名高いこんな人でも、仏教の普及に貢献したということで、中国江蘇省徐州市の竹林寺には笮融記念閣なるものがあり、立派な銅像まであるというから驚き。
まぁ、寺や仏塔を建てたことは史書にもありますから、貢献したっちゃ、したんで
しょうけど。
光月ユリシの独り言
三国志では、劉繇はパッとしない上に孫策の引き立て役に成り下がっていますが、清廉君子で、人材には許子将や太史慈、孫邵、是儀らを抱えています。この作品では劉曄までいるのですから、ゲームでプレイするなら、面白くなりそうです。
エリート社長で優秀な社員を抱えているのに、人材を使いこなせず、会社経営がうまくいかない。そんな感じの劉繇さんでした。
ところで、其之十では、劉繇と劉曄が同時に出てきて、音声だけの情報だけでは混乱することと思います。よろしければ、活字とともにご視聴くださることをお勧めいたします。
其之十 光明の龍(外部リンク)
三国夢幻演義 龍の少年 第1話「命の山」見逃し配信
【龍の少年のご感想について】
本作品は、いかがでしたか?
励みになりますので、アンケートにご協力いただきますと幸いです。
※ツイッターはハッシュタグ #三国夢幻演義 で感想をお待ちしています。