何も決める事が出来ない民主主義、そう言われる事もあるほど民主政治は決定までに時間が掛かります。また、決まりかけても反対の意見が強いと妥協して有効な政策が骨抜きになったり、廃案に追い込まれたりします。これなら全てが迅速に決められる一党独裁の方がマシではないか?そう思ってしまう人もいるでしょう。しかし、それでも民主主義は人間にとって最良の統治機構だと言えるのです。今回は民主政の唯一のメリットを紹介しましょう。
民主主義は間違いを認め是正できる
独裁政治に比較し、ひたすら面倒くさい民主政治の唯一にして最大のメリット、それは、政策の間違いを認め改める事が出来る事です。その為に民主政では選挙をして代議士を選定し国会に送り込んでいます。政府が政策を誤れば、野党議員が議論を通して問題点を攻撃し、それをメディアが放映する事で、政策の間違いが有権者の目に触れる事になります。
そして、有権者は政策の誤りの是正を政府に求め、そのリアクションとして政権が倒れたり、政策が是正されたりします。このような事は独裁国家ではまずあり得ません。
独裁政権の権力の正統性は「国民を正しく導き決して間違わない」という事であり、政権が政策の間違いを認めるとクーデターが起きます。だから、その誤りは決して是正されず暴力で政権が倒れるまで継続し、結果的に国民により多くの犠牲が出てしまうのです。
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人間も国家も間違いながら正解を導く
人間の決定は大体が間違いです。人間の集合体である国家もやはり間違いだらけです。どんな人でも生まれた時から、失敗を繰り返し経験を積み重ねてトライ&エラーを繰り返し、正解に近づいていくものです。政府も同じで多くの失敗を繰り返しながら軌道修正していき、ようやくマシと思える政策に辿り着くのです。だから、例え時間が掛かっても面倒でも、しんどくても間違いを許容し軌道修正を許す民主主義のシステムは、人間に取って最良のものなのです。
欠陥だらけの人間に似あうのは欠陥を認める民主政
もし、人間が時代とともに進歩して神に近づくなら独裁政治でもいいのかも知れません。しかし、人間は進歩なんかしないし、今も昔も間違ってばかりなのです。それでも政治が決定的な破綻をきたさないのは、投票によって政権が倒れ、よりマシと思われる代議士を送り込めるからで、その仕組みを担保する議会制民主主義は欠陥だらけの人間に適合していると言えるでしょう。
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