増え続ける人口に対処するために、世界の砂漠を緑地に変えて農地にする試みがなされています。例えば北アフリカに広がる広大なサハラ砂漠を緑地化すると世界はどうなるのでしょうか?
サハラ砂漠を緑地化すると熱帯雨林が消える
何の役にも立たない不毛な砂漠を緑地に変えれば農業生産力が増えていい事ずくめだと私たちは考えてしまいますが、実はこの考えは人間中心のエゴに過ぎません。サハラ砂漠は、単独で存在しているのではなく、世界の別の環境に影響を与えているからです。例えば、サハラ砂漠の砂は風に巻き上げられて南米アマゾンのジャングルに降り注ぐ事が知られています。サハラ砂漠の砂にはアマゾンには少ないリンが含まれていて、この砂が雨と一緒に降る事でアマゾンの熱帯雨林は維持されているのです。そのため、サハラ砂漠が緑地化され砂が飛ばなくなると、アマゾンの熱帯雨林は栄養不足になり消滅してしまうと言われています。
魚を育てているサハラの砂
また、サハラ砂漠の砂には、海洋プランクトンの生育に必要不可欠な鉄が豊富に含まれます。砂漠の砂が海に落ちる事でプランクトンが生育し、これを食べる魚が繁殖できるのです。大西洋に含まれる鉄の4分の3はサハラ由来であり、砂漠の砂が消えると大西洋の広範囲で魚がいない海が産まれるでしょう。
砂漠は増やすべきではないが無暗に減らしてもいけない
人間の目から見ると不毛な土地に見える砂漠ですが、古くからある砂漠では多くの生き物が生息し、独自の生態系が営まれています。もちろん、砂漠を増やしてはいけませんが、だからって昔からある砂漠を緑地化するのも地球の生態系を無視し、新しい環境破壊になる可能性があるのです。
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