ウクライナと国境を接するモルドバ共和国のサンドゥ大統領は5月23日の欧州メディアへのインタビューでウクライナ侵略に絡む戦争犯罪容疑で国際刑事裁判所(IOC)が逮捕状を出しているロシアのプーチン大統領がモルドバに入国した場合、逮捕すると語りました。
モルドバは旧ソ連ながら親欧米派の立場
モルドバは旧ソビエト連邦の一国ですが、IOCのローマ規定を2010年に批准しています。これを受けてサンドゥ大統領は「モルドバはIOCの協定に署名しており、その決定を尊重すると述べました。タス通信によるとプーチン氏は2002年に旧ソ連諸国で構成する独立国共同体(CIS)首脳会議でモルドバを訪問。首相時代の2008年にもCIS会議で訪れています。モルドバは小国ですが旧ソ連諸国の大統領がプーチン氏の逮捕を公言した事は、旧ソビエト連邦内でもプーチン大統領の求心力が低下しているとも考えられます。
モルドバの近代
モルドバは、旧ソ連諸国の一員ながら、ソビエトによる宗教弾圧を受け、反ソビエトを標榜した数万人もの人々が国外退去を命じられ財産を没収されました。2022年2月に始まったウクライナ侵略は、ウクライナ西隣のモルドバにも経済、社会、外交・安全保障の多方面で影響を与えていますが、モルドバ国民の多くはウクライナに同情的で多くのウクライナ人難民を自宅に受け入れています。
ドゥミトル・ソコランモルドバ駐日大使は「支配国が入れ替わった歴史を持つモルドバは困難に陥った隣人を助ける文化がある」と説明しています。国際連合事務総長アントニオ・グテーレス氏は、ウクライナ難民を受け入れているモルドバへの支援を世界各国に呼び掛けています。
小国でさえ正義を貫く
モルドバは、人口400万人程度の小国で、GDPも世界で135位と貧しい国に入ります。それでもロシアのウクライナ侵略に対してはプーチン大統領を批判し、IOCの規定を順守してプーチン氏が入国したら逮捕すると公言したのです。プーチン大統領もこの情報を得ているはずですが、ロシアが恐ろしくても正義を貫こうとするモルドバ人の態度は賞賛に値するのではないでしょうか?
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