2023年6月上旬から開始された3個旅団を投入したウクライナ軍の反転攻勢。着実に戦果を挙げているとはいえ、7月までに奪還したウクライナ領土は全体の0.1%でした。ワグネルの反乱など弱体化が囁かれるロシア軍に対し、どうしてウクライナ軍の反転攻勢はそれほど進まないのでしょうか?
原因はロシア軍の陣地と対空兵力
ウクライナ軍の反転攻勢速度を低下させているのは、ここ数ヶ月で南部ザボリージャ州、及び東部バフムト州で大きな戦闘がなく、その間にロシア軍が迎撃のための陣地を強化した事が原因です。すでに日露戦争の頃からロシア軍の陣地構築能力には定評がありましたが、現在のロシア軍もそれを受け継ぎ、1000キロにも及びウクライナ領土を分断する無数の塹壕を掘り、鉄条網と地雷を巡らせ大口径の大砲をウクライナ軍に向けています。ウクライナ軍は地雷源を回避し、大型大砲の砲撃に曝されつつ奪還作戦を進めねばならず、どうしても大規模で急速な進軍が難しくなり、一日数メートルという遅々とした進軍になってしまいます。
ロシア軍の対空兵力
地雷源以上にウクライナ軍を苦しめるのは、ロシア空軍による空からの攻撃です。地上戦力こそ各国の支援で強化されたウクライナ軍ですが、空軍勢力ではロシアに圧倒されたままであり、制空権なしの反転攻勢を余儀なくされました。供与された無人偵察機も、多くはロシア軍に撃墜され、上空からの戦況把握も難しく、これも大規模な反転攻勢ができない理由になっています。
反転攻勢は対空兵力の支援次第
地雷源の撤去はすぐには不可能としても、対空兵力の増強は欧米諸国の支援が強化されれば出来ない事ではありません。ゼレンスキー大統領も各国に対し、対空兵力やミサイルの支援を呼び掛けています。ロシアのウクライナ侵略は決して他人事ではありません。ロシアの侵略が成功すれば、次は台湾で中国がという可能性も否定できないのです。
ウクライナを支援する事は世界の平和を守る事
それ以上に、第二次世界大戦後の戦禍での教訓である「侵略戦争はいかなる場合でも悪であり許されない」とする国際正義が踏みにじられれば、21世紀の残りの3/2は弱肉強食の帝国主義が罷り通る悲惨な社会になるでしょう。今ウクライナを支持し支援する事は、明日からの世界の平和を守る為に絶対に必要な事なのです。
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