ウクライナ戦争が開始されてより500日。この間にロシア軍は1万両もの装甲車を失ったようです。一方でロシア国内の戦車の生産台数は月間数十両であり、その穴埋めのために1950年代に活躍した古い戦車が倉庫から引っ張り出されています。その中には70年も前に活躍したT54やT55もありました。
ポンコツ戦車の役割は
今から70年前の戦車をロシア軍は何に使用するのでしょうか?それは、戦車の装甲の厚さを利用して移動式の野戦砲として使うか、あるいは爆薬を詰め込んで無人で突っ込ませ即席爆弾にするようです。70年前の遺物でもウクライナ南部に展開するロシア軍には人気が高いようです。物資が滞っている戦線では補給があるだけ有難いという状態でT54とT55は即席榴弾砲として最後のご奉公をしています。
当たればスゴイ戦車爆弾
しかし、ロシア軍の即席爆弾としてのT54とT55はいささか原始的です。ロシア軍はこれらのポンコツ戦車に4から5トンの爆薬を詰めてから戦車に乗り込み、ウクライナ軍の前線が見える所まで走らせます。それからギアを前進で固定して乗組員が戦車から離脱するのです。
こうして即席爆弾がウクライナ軍の陣地に肉薄した時点でタイミングを計って引き金を引き戦車を自爆させるか、ミサイルやロケット弾を撃ち込んで誘爆させます。その威力は約150メートル離れた場所にいる無防備な敵を殺し、900メートル離れた兵士を負傷させる事が可能です。ただし、それはウクライナ軍のドローンに戦車爆弾が発見されず、途中で爆破されなかった場合の話で、実際の即席戦車爆弾は大した命中率がなく全速力で走る戦車から飛び降りる4人の戦車兵の滑稽さの方が目立っています。
ロシア版神風特攻?
しかし、およそ21世紀の戦争とは思えない即席戦車爆弾の運用ぶりに「無謀だ」、「愚かだ」と声を揃える米軍関係者もいます。兵士の命を危険に晒しつつ、骨折り損のくたびれもうけをするロシア版神風特攻と言えば言葉は悪いでしょうか?
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