現在もロシアと戦いを続けているウクライナ、そのウクライナを戦後悩ます問題が人口減少問題です。元々、出生率が低かったウクライナですが戦争を受けて、戦死者や難民となって他国に逃げた人々が1000万人以上に上っています。戦争終結の糸口がつかめない中で、戦争終結後もウクライナに戻らない難民が大量に出てくる可能性が懸念されています。
元々人口減少気味のウクライナ
ウクライナの特殊出生率は戦争前の段階で0.9と世界でも低い水準でした。それが戦争が勃発した影響で0.7へ減少しています。またウクライナの人口も1991年の独立当時には5200万人だったものが、侵略前には4100万人に1000万人も減少していました。現在のウクライナの国土は1/5をロシア軍に占領されていて、数百万人が難民として周辺国へ避難。その地域の人口を除くとウクライナの人口は2800~3400万人になります。さらに現在、ウクライナでは100万人が兵士として銃を取り戦っていますが、働き手を軍隊に取られた事でウクライナの産業は低調です。
戦争が長期化し最大で270万人がウクライナに戻らない可能性も
EU諸国の難民1000人以上を対象とした今年2月の世論調査に基づくと86万人~270万人のウクライナ人が永久に国外に留まる可能性がありその場合、ウクライナ経済は国内総生産の2.55~7.71%を失う可能性もあるとしています。現在の所、ウクライナ難民の多くは祖国に帰る事を念願としていますが、実際に帰れる目途がある人は10人に1人でしかなく、このまま戦争が継続すると非難した土地に根を下ろし、ウクライナに帰らない選択をする人が多くなる事が、これまでの戦争難民の傾向から明らかになっています。
高等教育を受けた女性人口の流出も深刻
ウクライナから難民として国外に出たウクライナ人には高等教育を受けた女性が多いようです。また、現在では法律によって国外に出る事が禁止されているウクライナ人男性も、今後規制が緩和されると国外に出る可能性が指摘されています。経済や産業を将来リードする高学歴の若いウクライナ男女が国外に流出する事で、戦後のウクライナ経済に深刻な影響が出る恐れもあります。
ウクライナ政府は楽観視
一方でウクライナ政府は人口減少問題について、やや楽観視しています。理由は戦争によりウクライナ人の愛国心が高まった事でした。戦争前のウクライナはあまり愛国心が高いとは言えなかったようですが、戦争以来、ウクライナへの祖国愛が強まっており、当局は戦争終結から3年で最大で75%の難民がウクライナに帰還すると試算しています。
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