7月に入ってより、ウクライナ軍によるモスクワなどへのミサイル、ドローン攻撃が続いています。その背景にはロシア・ウクライナ戦争を他人事ととらえているロシア人への警告があると見られます。ウクライナでは、ロシア本土への攻撃を開始するにあたり、支援を受けた対地ミサイルではなくウクライナが昔から所有していた対空ミサイルS-200を改造する方法を選びました。それはどうしてなのでしょうか?
供与されたミサイルはロシア本土攻撃には使えない
大きな原因は、NATO諸国がウクライナに供与したミサイルがロシア本土への攻撃に使わない事を条件としているからです。たとえば、イギリスが今年の春に供与した長距離巡行ミサイル「ストームシャドウ」についてベン・ウォレス国防相は「ウクライナに占領されている地域の目標に限り使用を許す」と条件をつけています。この取り決めを破ると、武器の援助要請が出来なくなる恐れもあり、ウクライナは最新鋭のミサイルを持ちつつも、ロシア本国は攻撃できないのです。
それならウクライナの古い対空ミサイルを改造する
そこで、ウクライナが考えたのが、自国が保有する旧式の対空ミサイルを改造して、地上を狙えるようにする事でした。これらの対空ミサイルは迎撃については、まったく時代遅れですが、動かない地上の標的を狙うのには有効でミサイルの大きな図体も地上の構造物を破壊するのにプラスに働きます。ウクライナには、1960年代のソ連製の対空ミサイルがかなり存在すると見られ、改造されたS-200より、半世紀前の対空ミサイルが次々にロシア本国に着弾する事になるかも知れません。
▼こちらもどうぞ