10月7日のイスラム武装勢力ハマスによるイスラエルへのミサイル攻撃やイスラエル領地へ戦闘員が侵入しての民間人に対する凌辱、斬首などの非人道的攻撃は国際世論の非難を集めました。しかし、イスラエルが報復としてガザ地区にミサイル攻撃や空爆を開始し、ガザ地区のパレスチナ人に被害が出ると一転してハマスのテロ攻撃は止むを得ない。イスラエルにも非があるという意見も強くなりました。どちらも意見にも納得できる部分はありますがハマスとパレスチナ人を混同しては問題を混乱させる恐れもあります。
ハマスは政治勢力でテロリスト
ハマスは1987年にパレスチナ全土で起きたイスラエルへの武装蜂起の時に結成された武装組織です。武装勢力ではありますが政治部門も保有していて、パレスチナ暫定政権下での選挙ではガザ地区で多くの議席を獲得しました。どうしてハマスがガザ地区で支持を集めたのかと言えば、イスラム法であるシャリアに基づき、貧困層が7割を占め、14歳以下の人口が50%近いガザ地区で、食糧支援や教育支援、イスラエル軍に破壊された住宅の建て直しなどのライフライン整備に尽力しているからです。
ガザ地区住民を利用するハマス
これだけ聞くと、ハマスはイスラエルからの独立を目指すパレスチナ人の側に立った正義の勢力のように見えますが、事実はそこまで単純ではありません。ハマスは人口200万人の過密都市であるハマスの民間住居の地下に武器庫や司令部、通信設備を置いているのです。これをイスラエル軍が空爆すると、必ず民間人の犠牲者が出てしまい、それをハマスは、イスラエル軍の蛮行の証拠として、SNSで拡散するのです。今回のテロでもハマスは、外国人を殺害するだけでなく、人質として連行していますが、ガザ地区の200万人の民間人も、いわばハマスの人質でありイスラエルの攻撃から自分たちを守る人間の盾なのです。
イスラエルの非道さ
ただし、じゃあ、イスラエルが正しいのかといえばそうではありません。ガザ地区が人口過密で貧困層が7割を占め、失業率が50%を越え、食糧支援に頼る人々が大半であり、人口の半分が14歳以下の子供という現状はイスラエルによる侵略と、その後の度重なる空爆やミサイル攻撃でもたらされたのです。また、イスラエルはガザ地区の周囲を壁で覆い、隣国のエジプトも検問所を置くなどガザ地区住民の移動は大きく制限されています。その影響でガザ地区ではあらゆる生活物資と医療品が不足し、乳幼児の死亡率も高い状態です。ガザ地区の住民は決してハマスとイスラエルの軍事衝突を歓迎していませんが、だからと言って何も出来ないのが現状なのです。
ガザ地区のパレスチナ人の立場で解決を
誰が最初に手を出したかよりも、今後イスラエル軍がガザ地区に侵攻した結果、起きる事を考えると何よりもガザ地区のパレスチナ人がこれ以上死んだり、傷ついたりしないように国際社会は声を上げる必要があるでしょう。
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