暴力・略奪・権力の乱用などあらゆる悪い言葉、そっくりそのまま当てはまる三国志の英雄・董卓。そんな悪イメージしか持っていない董卓にも名言は存在します。そして今回ここで紹介する董卓の名言を見れば、彼の悪いイメージがガラッと変わってしまうかもしれませんよ。
皆さんの董卓のイメージは??
皆さんは董卓に対してどのようなイメージを持っているのでしょうか。暴虐な君主で気に食わないやつは片っ端から殺害していく人でしょうか。それとも三国時代の有名人であり力を持っている名士から人望を得ようとしていたイメージでしょうか。これらのイメージは共に董卓に当てはまるといっていいでしょう。しかしここで紹介する董卓のイメージは少し違います。
部下から慕われていた董卓
実は董卓…。部下に慕われていた人物だったのです。ホントかねとちょっとびっくりしている人もいると思います。しかし事実なんです。
その証左として董卓は朝廷から異民族を討伐するように命令が下されます。董卓は軍勢を率いて西方に住む異民族討伐を開始。異民族討伐戦の結果は董卓軍の大勝利で終わり、多数の異民族を討ち取る事に成功します。朝廷は董卓が大戦果を挙げたことの褒美として絹を大量に与えます。董卓はもらった絹を自分の物にするのではなく、一緒に戦った兵士たちへ分配。
董卓はこの時「為すはすなわち己なれども有するはすなわち士なり(手柄は俺が立てたが、手柄をあげて手に入った物はみんなの物だ)」と言って部下や兵士達に言ってのけるのでした。独占欲の強い董卓とは思えないすばらしい名言だと言え、董卓のイメージがかなり変わってしまうのではないのでしょうか。
漢王朝思いの董卓
さてもうひとつ董卓のイメージをがらりと変える名言を紹介しましょう。董卓は漢王朝で高位の権力を手に入れるとやりたい放題やりまくった人物として知られていますが、実は漢王朝の腐敗を改善しようと試みた人物だったのです。
董卓はある日皇帝に対して「今漢王朝が乱れているのは宦官の偉いやつらが利益と権力を独り占めしているからです。そのため漢王朝の宦官の偉いやつらに任命された人々が好きなように操り、宦官へ賄賂を贈り、自分の地位を高めよう企んでいる為、政治はよくなりません。そのため民衆には大きな不満が渦巻いています。
先日異民族討伐へ向かった際、兵士達の士気はぜんぜん上がらず、異民族討伐へ向かうくらいなら宦官をすべてやっつけた方がましだと言っていました。このように宦官がいるせいで政治はダメになって行き、民衆の不満が高まっているのが現状です。すぐに宦官を排除するのが言いと私は考えます」と手紙を送りつけます。
この手紙は皇帝の手元に届くことはなく、途中で宦官に取られてしまいます。しかし董卓の漢王朝が腐敗している現状を憂いて、政治を良くしようとする考えは窺い知ることができたのではないのでしょうか。
三国志ライター黒田レンの独り言
董卓のイメージは以外と部下思いで、漢王朝を良くしようと手紙を送ったりしている所を見ると若いころは熱血漢で義理堅い人物であったことが伺えるのではないのでしょうか。
董卓は洛陽で権力を握ってやりたい放題やっていた頃も元からいた部下には厳しい処罰を与えることをあまりしていなかったと思います。また董卓は後年洛陽で権力を握ると霊帝の跡を継いだ皇帝を廃してしまいます。上記の事件は後漢王朝時代最悪の事件でしたが、もしかしたらこの事件は董卓が後漢王朝をクリーンにするために考えた秘策かもしれません。
皇帝が変われば皇帝の側近も変化し、宦官達も古い皇帝に仕えていた者達が一掃され、新しい者達が仕えることになります。こうして組織を刷新した後、新しくなった後漢王朝の政府で政治を良くしようと考えていたのかもしれません。
参考 【正史三国志魏書】など
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