コーヒーカップには、ソーサーと呼ばれる小皿がついていますよね?いかにも上品な感じに見えるソーサーですが、元々の目的は装飾ではなかったってご存知ですか?
ソーサーは本当に皿だった
ソーサーは、カップを置く受け皿として知られています。しかし、これは現在の役割であって18世紀には別の役割を持っていました。18世紀頃、ティーカップには現在のように取っ手がついていませんでした。そのため、当時のティーカップは紅茶の入れ物として機能していたのです。代わりに飲み物の器として機能していたのがソーサーでした。18世紀のマナーでは、ティーカップの中身をソーサーにあけて冷まして飲んでいたのです。今から見ると品が無いですが、イギリスでは古来より椀から直接飲み物を飲む習慣がなく、スープもスープ皿で取り分けるので、ソーサーを受け皿に使用する事に違和感がなかったのです。
20世紀初頭まで続いた飲み方
ティーカップから飲み物を移していたので、当時のソーサーは現在よりも、底が深かったようです。この飲み方は20世紀初頭まで続きますが、次第に野蛮な飲み方であると非難されるようになり、取っ手がついたカップが普及した事から、カップに口をつけて飲むのがスタンダードなスタイルになります。
役割が消えたソーサーは装飾品となる
こうして、飲む器という存在意義を失ったソーサーは深さが不要になり、浅く平たい皿へと変化します。やがてカップの据わりがよいようにくぼみがついたソーサーも登場するようになるとソーサーが飲み物の容器だった事実も消えてゆきました。
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