羊羹と聞くと、多くの日本人は繊細な甘みをもつ和菓子を思い浮かべるでしょう。しかし、この和菓子の起源は、なんと中国の羊肉を用いたスープ料理にあります。日本に伝わってからの羊羹の変遷は、文化と食の面白い相互作用を示しています。
この記事の目次
羊羹が日本に伝わったのは鎌倉時代以降
羊羹が日本に伝わったのは鎌倉時代以降のこと。中国の羊羹は、羊を煮込んだスープ料理でしたが、日本では仏教の影響により肉食が禁じられていたため、このレシピは大きな変化を遂げました。肉の代わりに、小豆を羊の肝の形に似せて蒸しあげ、それをスープに入れることで、日本独自の羊羹が生まれたのです。
さらに、この小豆を蒸しあげたものが、やがて和菓子としてお茶と共に供されるようになり、今日私たちが知る甘い羊羹の原型が形成されました。また、中国にも羊肝こうや羊肝餅と呼ばれる、和菓子の羊羹に似た甘いお菓子が存在し、これが日本に伝わって羊羹となったという説もあります。
羊羹のもう一つのバリエーションである煉羊羹は、江戸時代後期に誕生しました。もともとは小豆を蒸しあげることから始まった羊羹が、寒天を多く入れて固めた煉羊羹として独自の発展を遂げたのです。
日本の食文化の豊かさ
今日では、羊羹は日本の代表的な和菓子として広く親しまれています。その起源を振り返ることで、日本の食文化の豊かさと多様性を再発見することができます。次回羊羹を味わう際は、その長い歴史と文化的変遷を思い起こしながら、ぜひその深い味わいを楽しんでください。
▼こちらもどうぞ