この記事では、海江田信義(通称・有村俊斎)について取り上げます。海江田信義は明治政府において評価は高くないと言えますが、海江田信義の性格や役割について取り上げます。
海江田信義について語ろう!
海江田信義は剣術の達人有村仁左衛門兼善の長男として生まれました。婿養子となり、有村ではなく海江田と名乗ります。井伊直弼が大老になり、反対派を粛正した安政の大獄が始まりました。海江田信義の弟らは井伊直弼の殺害に関わり島流しや自害して果てました。信義は藩内で精忠組を組織し、反幕府の勢力を拡大します。
寺田屋事件で株をあげた島津久光は江戸に向かいました。信義も久光に帯同していましたが、その帰路の生麦村で事件が起こりました。
イギリス人が馬で駕籠の前を横切り、イギリス人を斬り殺しました。日英間の国際問題となり、報復として薩英戦争が勃発しました。信義は戊辰戦争で東海道先鋒総督府参謀を任命されました。江戸城無血開城に尽力しましたが、上野山に集結する彰義隊を追討する際、大砲による皆殺しを主張する長州藩の大村益次郎と軍議で対立しました。この対立により明治政府から離れ、奈良県知事となりました。
大村益次郎が京都二条で暗殺される事件が起きました。その暗殺事件の実行犯が京都粟田口刑場において処刑されるとき、信義はそれを妨害したことで大村益次郎暗殺の黒幕と疑われ、政府の取調べを受けました。その後、ヨーロッパのウィーンに遊学し、帰国後は枢密顧問官に任命されましたが、1906年に75歳で死亡しました。
重要な事件の引き金名人、海江田の魅力!
海江田信義はなぜ注目されているのか。重要な事件の引き金になっていることが注目される要因となっています。1つ目は、西郷隆盛が大坂にいることを島津久光に漏らし、西郷が2度目の流罪になりました。
2つ目は、寺田屋事件で有馬新七ら過激派の説得をしましたが、失敗に終わりました。説得工作が失敗したため、武力で大山綱良らが制圧しました。この寺田屋事件では薩摩藩士の同士討ちで藩士を失いましたが、朝廷内で島津久光の株をあげることに成功しました。
3つ目は、海江田信義が生麦事件の当事者になったことです。生麦事件とは生麦村で薩摩藩の行列を横切ったイギリス人が切り殺された事件のことです。イギリスは報復として薩摩藩と戦争になりました。この戦争のことを薩英戦争と言います。
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海江田信義の性格は過激だった?
海江田信義について「重要な事件の引き金名人、海江田の魅力!」で取り上げたように軽率な行動が目立つという印象を受けるかもしれません。特に、生麦事件については不平等条約で江戸幕府の法律が適用されないことを知っていれば、イギリス人を切り殺すことなく薩英戦争にならなかったのかもしれません。他に、薩英戦争以外では島津久光に西郷隆盛の行動をなぜ伝えたのか。大河ドラマ『西郷どん』でどのような演出があるのか気になります。
海江田信義の髭が立派!江戸時代では髭は禁止だったの?
戦国大名の肖像画を見ると髭を生やしているのが分かります。戦乱の時代が終わり、ひげを生やして強さをアピールすることが徳川家への反逆心への現れとして捉えられるようになり、禁止されました。江戸時代の元禄期になると、再び下級武士や庶民の間でひげがブームになり、ほとんどの人がひげを生やしています。
ひげがない人は紙でひげを作りました。ひげの作り方は江戸時代前期に起きたひげブームはかなり熱狂的なものだったようで、ひげのない者は、紙でひげを作り、ロウとまつやにで固め「こより」で耳にかけました。伊達メガネならぬ「伊達ひげ」や顔に墨でひげを描く人もいました。江戸時代に再び大ひげが禁止されました。あごひげを少し生やす程度は大目に見られていたため、権威を強調したい医者はあごひげを生やしましていました。
浮世絵をよく見るとひげを生やした人を見ないと思います。ひげが禁止された影響が出たのかもしれません。明治時代になると再び大ひげが文明開化の象徴としてブームになります。当時、欧米でひげがブームになっていて、欧米帰りの政治家がひげを生やしたと言われています。ひげで有名な人では陸軍の軍人・長岡外史です。横に伸びたひげはプロペラひげと呼ばれ、本人は「世界一」を自称し自慢していたと言われています。終戦まで軍人が威厳のシンボルとしてひげを生やしました。
幕末ライターオフィス樋口の独り言
今回は海江田信義について取り上げました。この記事の後半では海江田信義のひげからひげのブームの歴史について取り上げました。現代、サラリーマンがひげを生やしていると眉をひそめられましたが、職業に関わらずひげは市民権を得て男性の顔を彩っています。ひげに対する意識は時代によって異なるので面白いと感じると思います。ひげ以外で時代によって意識が異なるものに注目したいと思います。
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