アメリカのサリバン大統領補佐官は5月13日、イスラエルとイスラム組織ハマスとの戦闘で生じたパレスチナ人35000人の犠牲について、バイデン政権は大量虐殺と見なしていないと述べました。この発表はイスラエルに対し軍事支援をおこなっているアメリカがパレスチナ人の大量虐殺に関与しているとの批判に対する対抗策と見られます。
曖昧なバイデン政権
サリバン大統領補佐官は記者団に対し、米国はハマスの敗北を望んでいるとしつつ、パレスチナ自治区ガザ最南部ラファでイスラエルが大規模な軍事作戦を開始する事は誤りだと述べました。また、ガザ北部のエレツ検問所に向かっていた人道支援物資を運ぶトラックの車列をイスラエル入植者が攻撃したとの報告についても、全く受け入れられないとしました。一方で、サリバン氏は、アメリカは、ガザで起きていることを大量虐殺とは見做していないし、そのような見方を批判してきたと曖昧な態度を取っています。
ハマスが人質を解放すれば戦闘休止が実現する
記者団に対しサリバン大統領補佐官は、ハマスが人質を解放すれば戦闘休止が実現する可能性があると述べて、5月11日にバイデン大統領が提示した考えを改めて表明。国際社会はハマスに合意を受け入れるよう呼びかけなければならないと述べました。ただアメリカ主導で進んでいる戦闘休止と人質解放の実現について、ハマスとの合意が成立するのかについては予測できないと明言を避けました。
ネタニヤフに引きずられるバイデン政権
アメリカが提供した武器で、イスラエルがガザ市民を無差別に殺害している状況では、そこにイスラム武装組織ハマスの存在があるとしても、アメリカがジェノサイドに加担していないと強弁するのは無理があるでしょう。バイデン政権はネタニヤフ首相に完全に引きずられつつも、プライドだけは大国で、イスラエルの個別の国際法違反については非難しつつも、総体のイスラエル軍によるパレスチナ人大量虐殺は認めないとするジレンマに陥っているようです。
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