アメリカ、カリフォルニア州、アーバイン校の心理学教授スーザン・チャールズ氏の研究によると日常的なストレスが一切ないと回答した人が全体の約1割いる事が判明しました。毎日、細々したストレスに悩まされる人にとっては羨ましい話ですが、実は、ストレスがないのは歓迎すべき事だけではないようです。
ストレスを感じない1割はどんな人?
チャールズ氏は、ストレスが人間に与える影響を調べる為に、アメリカウィスコンシン大学マディソン校の「米国中年期研究(MIDUS)」の調査データを分析しました。分析した調査データは「日々の経験に関する全国調査(NSDE)」というもので、被験者は8日連続で、その日にあった出来事について電話インタビューを受け、日常的なストレス要因について報告する単純なものです。しかし、このテストにおいて8日間、一切ストレスを感じなかったと答える被験者がおよそ1割存在していたのです。当初チャールズ氏は、ストレスについての分析をしていたので、1割の被験者の回答については無視していましたが、ある時、ふと、ストレスを感じない人の心理状況とはどんなものかと思い立ち分析を開始しました。
分析から見えてきたストレスのない人々
調査に参加した人々の個人情報は「米国中年期研究(MIDUS)」を運営するウィスコンシン大学マディソン校によって厳重に管理されているので、ストレスがない人たちの詳細なプロフィールをチャールズ氏が知ることはできませんが、一般的な特徴は分かります。チャールズ氏の分析によると、ストレスを感じない1割の人々は、年齢が高い未婚の男性である事が多く最終学歴が低い傾向があったようです。また、彼らは仕事やボランティア活動、他者との交流を伴う能動的な活動が少なく、同時にテレビを見る頻度が高い事が分かりました。
他者との関りはストレスを増やしも減らしもする
チャールズ氏が興味深く感じたのは、表面的に人付き合いが少ない人ほど日常的ストレスが少ないように見える点でした。しかし、これは良い事ばかりではありません。人間関係はストレスのタネにもなりますが、逆に社会的な関係の中で、私たちは孤独感を癒したり、具体的な支援を受けストレスを軽減する事もあるからです。人は社会的な動物であり、他人なしには健全に生きていく事が出来ません。他者との関わりは多すぎても少なすぎてもいけないようです。
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