2024年5月10日、ウクライナ北東部ハルキウ州への越境攻撃を開始し、あらたな戦端を開いたロシア軍。しかし、それから1ヵ月で攻勢はつまづいた模様です。ウクライナ軍は、ロシアとの国境に近い北東部ハルキウ州ボウチャンシクでロシア兵数十人を捕虜にしたと発表しました。数十人単位でロシア兵が捕虜になる事は珍しく、ウクライナ軍へ包囲され逃げ遅れたロシア兵が大勢出た事が原因のようです。
ボウチャンシクの工場を開放
ウクライナのシンクタンク防衛戦略センターによると先週末から同日にかけて激戦でウクライナ軍はボウチャンシク中心部のボウチャンスキー骨材工場及びその周辺で最大400人のロシア兵を包囲。ロシア軍は救出を試みますが失敗しロシア兵30人が捕虜になりました。
戦闘の経緯
ロシア軍は5月10日、数万規模の兵力をウクライナ北東部に投入しました。国境付近の村々は防御の手薄であったため、ロシア軍はあっさりと占領。次に大型の都市であるボウチャンシクに向けて進撃します。ボウチャンシクは、ハルキウ市方面に進撃した際に最初に現れる都市でした。ウクライナ軍はボウチャンシクを防戦の場に選び、精鋭の第82独立空中強襲旅団及び数個旅団を投入。数週間の激闘の末、ボウチャンシク中心部を東から西へ流れるボウチャ川の北でロシア軍の進撃を食い止める事に成功しました。この事態を受けて、ロシア軍は再集結。2個大隊に相当の数百人の歩兵がボウチャ川の右岸のあるボウチャンスキー骨材工場に攻め込みます。ロシア軍は頑強な骨材工場を足場として渡河作戦を開始し、ボウチャンシク南部への侵入を試みました。しかし、ウクライナ軍は骨材工場の西側を攻撃しつつ北へ数ブロック前進。工場内のロシア軍部隊400人は西の味方部隊と分断されます。ロシア軍は工場に孤立したロシア兵を救出しようとしますが、30名余りは救出できず、そのままウクライナ軍に投降したようです。
ロシア軍、ハルキウ侵攻は無残な失敗か
当初から、本格的侵攻には兵力と装備が不足しているとウクライナ軍から指摘されていたロシアのハルキウ方面侵攻軍。今回、30名近くの捕虜が出たため、戦力不足が完全に露呈してしまった形です。もっともウクライナ軍としても奪われた領土を奪還できたわけではないので、予断を許さない状況ですが、ロシア軍が今後もハルキウへ大規模侵攻を続けるのは、難しい状態かも知れません。
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