ロシアのプーチン大統領は20日、訪問先のベナム、ハノイで韓国に対しウクライナに武器を提供すれば大きな間違いを侵す事になると警告しました。25年ぶりに北朝鮮の首都、平壌を訪れ、金正恩総書記と包括的パートナーシップ条約を結んだ事で韓国サイドに起きる反発を抑える狙いがあるようです。
ロシアと北朝鮮の蜜月に反発する韓国
韓国大統領府は、6月20日午後に国家安全保障会議常任委員会を開き、ウクライナに殺傷能力のある兵器を支援しないとした従来の方針について「再検討する」と表明しました。これは、北朝鮮に接近するプーチン大統領への警告ですが、今回のプーチン氏の警告は、韓国のウクライナ支援について牽制するものであるようです。プーチン氏はウクライナに兵器を供給する者達は自分たちはロシアと戦争をしていないかのような顔をしているが、我々はその対抗策として、世界の各地域に武器を供給する権利を留保していると述べ、暗に韓国がウクライナに殺傷能力がある武器を支援した場合、北朝鮮にロシアの兵器を支援する用意があるとほのめかしています。
プーチン氏の警告を受けて
ハノイでのプーチン大統領の警告を受け、韓国大統領府は21日、ウクライナへの武器供給については様々な選択肢を検討すると表明し、同時に韓国政府の姿勢はロシアがこの問題にどう臨むかにかかっていると述べました。また、ロシア大使を召還し、北朝鮮との軍事関係を直ちに中止するよう要請しています。一方、金正恩総書記はロシアのウクライナ侵攻を全面的に支持するとコメントしており、南北問題がウクライナ戦争に影響を及ぼす可能性も出てきました。
地雷を踏んだプーチン
プーチン大統領は世界中に嫌悪された状態で、一人でも味方を増やそうと北朝鮮に近づいた形ですが、その中で韓国の心証を悪くする事を考慮し外交的な虚勢を張ったと考えられます。しかし、北朝鮮と韓国は、現在でも軍事境界線を前に休戦状態であり、こんな状況で軽々しく訪朝したプーチン氏については、面子を潰された形でしょう。ウクライナでは、ロシアと北朝鮮が接近する事で、韓国がウクライナの軍事支援にさらに踏み込む事を期待する声もあり、今後のプーチン氏の対応次第では、警告したつもりが地雷を踏んだという事になるかも知れません。
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