従来、台湾有事が起きた際に中国軍が台湾を占領するまで1ヶ月を要するとされていました。しかし日本政府が昨年の中国軍の演習を分析した結果、中国軍は最短で1週間以内に地上部隊を台湾に上陸させる能力を持っている事が判明しました。日本政府は、中国軍がアメリカが軍事介入する前に台湾を制圧する超短期決戦を想定しているとして警戒を強めています。
昨年夏の中国の軍事演習から分析
日本政府が分析したのは、中国軍が昨年夏頃、一ヶ月をかけて国内や近海など各地で行ったミサイル発射や艦艇などによる訓練です。その分析では各部隊が同時並行で作戦を実施したケースでは、台湾周辺の海上や上空封鎖から地上部隊の上陸まで数日程度で遂行できることが分かりました。具体的な中国軍の台湾侵攻は、海軍艦艇が海上を封鎖しミサイルで台湾の軍事施設を攻撃、その後揚陸艦や輸送ヘリで地上部隊を投入して陸地に橋頭保を建設し、ここをベースに揚陸艦や民間の大型貨物船で部隊や戦車を投入する流れです。
中国軍は超短期決戦を志向
中国軍は年々強化されているとはいえ、アメリカが軍事介入した場合、台湾の早期占領は不可能です。そのため、中国軍はアメリカ軍の主力部隊が台湾の救援に向かう前に決着をつけたい考えで、その際には武力攻撃と重要インフラへのサイバー攻撃を組み合わせて、日本やアメリカの対応を遅らせるハイブリッド攻撃を仕掛けてくると考えられています。
日本政府の対応は可能か?
台湾有事が現実に起きた場合、国境を接する日本は台湾に在留する約2万人の邦人の保護や台湾に近い沖縄県・先島諸島の住民避難が焦点になります。しかし、2016年に施行された安全保障関連法案では、アメリカ艦船への後方支援を可能にする「重要影響事態」や限定的な集団的自衛権行使が可能になる「存立危機事態」などの適用可否を政府が判断する必要があります。また、致命的なのはこれらが決定されても自衛隊が出動するには、原則、国会の事前承認が必要である事です。現時点では自民党が衆参両院で多数ですが、今後の選挙で、衆参にねじれが起きた場合、80年の平和ボケに眠る与野党の国会議員が一致して、緊急事態に対応できるかどうかが問題になります。
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