皆さんは織田信長の最大の敵といえば誰を思い浮かべるのでしょうか。武田信玄(たけだしんげん)でしょうか。
それとも上杉謙信(うえすぎけんしん)でしょうか。はたまた毛利輝元(もうりてるもと)・吉川元春(きっかわもとはる)小早川隆景(こばやかわたかかげ)の毛利軍でしょうか。上記であげた戦国大名や武将達は確かに織田信長において、最強の敵と言っていいでしょう。
しかしレンが挙げる織田信長最強の敵は石山を拠点として、10年以上も信長と戦い続けた本願寺顕如(ほんがんじけんにょ)だと思います。そんな彼らですが、ついに信長は彼らを降す時がやってきます。長きに渡る戦いに終止符を打つことになった石山本願寺(いしやまほんがんじ)との和睦を今回はご紹介していきたいと思います。
朝廷を動かして和睦を進める
信長は村井貞勝(むらいさだかつ)と明智光秀を呼んで今後の方針について話し合います。彼は北陸方面軍の司令官である柴田勝家(しばたかついえ)が加賀(かが)の一向一揆衆を壊滅する寸前にまで追い込んでいることを二人に教えます。
そしてこの勝家の軍勢が一向一揆衆を壊滅させるのと同時期に石山本願寺も大阪から退去させたいと自らの方針を語ります。二人は信長へ「どのようにして石山から本願寺を退去させるのか」と質問。すると信長は「朝廷を仲介として本願寺を石山から退去させる光秀には朝廷を動かすように。貞勝は和睦の草案を考えるように」と命令を下します。
こうして信長は10年以上戦ってきた宿敵である本願寺を大阪から退去させようと工作を開始することになります。
光秀の工作により勅使が本願寺へ
明智光秀は信長から命令を出された後朝廷を動かすことに成功。その結果、本願寺へ朝廷の勅使が送られることになります。信長はもしこの和睦が失敗した場合のことを考えて和戦両方の姿勢を取っており、この朝廷の使者が送られる前から総攻撃を石山へ仕掛けると噂を流しておりました。本願寺は朝廷の勅使から和睦に応じるべしと知らされるとすぐに会議を開きます。
親子対立
本願寺顕如はすぐに重臣達を集めて織田軍との和睦に応じるべきか、それとも織田軍と決戦を行って戦うべきなのかを話し合うべく会議を開きます。顕如は重臣である下間頼廉(しもづまらいれん)へ「和睦に応じる場合の条件は一体何だ」と尋ねます。
すると頼廉は「大阪を退去すれば命を助けるとのことでした」と述べます。この話をきいたある重臣は「伊勢(いせ)・長島(ながしま)で、信長が行ったことを思い出してみよ」と述べます。さらに別の重臣達は「いや。このまま戦っても織田に勝つ見込みなどほとんどない」と語ります。
こうして会議は和戦どちらを取るべきか紛糾することになります。そんな中、顕如の息子である教如(きょうにょ)は「ひとり残らず織田と戦って玉砕するべし」と織田と決戦を行うべく主張を唱えます。顕如は「お前の意見はわかった。とりあえず期限まではまだ時間があるからじっくりと考えるべし」と語った後、会議を解散します。
ついに和睦が決まるも・・・・
本願寺顕如はその後幾度も重臣達と会議を行った結果、織田と和睦するべしと考えをまとめて、織田家にその旨を伝えることにします。織田信長は顕如の和睦に応じて、総攻撃を中止を行います。こうして織田信長最大の敵であった本願寺がついに和睦に応じて、石山を退去することになるのです。
しかし本願寺顕如の息子である教如は和睦に応じることを良しとせず、一向一揆衆を先導して織田軍に戦いを挑むべしと演説を行っておりました。そんな中、織田軍は和睦に応じる本願寺顕如には施しを与え、織田軍と戦うべしと述べている教如に対してプレッシャーをかけます。こうした結果、和睦派と決戦派は互いに憎しみあっていくようになり、顕如は石山を退去していきます。
教如は顕如が石山を退去した後も残って織田軍と戦う姿勢を見せ兵士達を鼓舞します。しかし教如に従っていた兵士達は石山を退去した兵士達を見ていたことや織田家が和睦に応じた兵士たちへ施しを行っている姿を見てしまったことなどによって、戦意が低下。教如も織田家と和睦をして石山本願寺を退去することになります。こうして織田信長最大の敵であった石山本願寺がついに和睦に応じて、消滅することになります。
戦国史ライター黒田レンの独り言
和睦に応じた本願寺顕如は紀州(きしゅう)の鷺ノ森へと退去することになります。石山本願寺に篭城して戦っていた一向一揆衆は一体どうなったのでしょうか。彼らは縁者を頼って石山を退去していったそうですが、この時抗戦派の一派かもしくは篝火に風が強く吹き付けたことによってかなのかは不明ですが、石山本願寺は全て燃え尽きてしまいます。こうして本願寺との長きに渡る織田信長の戦いは終結されることになります。
参考:中公新書 信長の司令官 谷口克広著など
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