LGBT理解増進法案は、自民党性的指向・性自認に関する特命委員会が法制化を進めている法案で、正式名称は「性的指向および性同一性に関する国民の理解増進に関する法律」です。最近、この法案に対しLGBTの権利が過剰に主張され性犯罪が増加し、一般国民が被害を受ける等、過激な言動がネット界隈で飛び交っていますが、それは本当なのでしょうか?
これは差別禁止法ではない
結論から言って、LGBT理解増進法を理由に日本で性犯罪が増えるという事は絶対にあり得ません。理由は、LGBT理解増進法は、行政や企業、学校等に対し、性的少数者に対する社会の理解を深め、差別を無くしていこうとする啓発活動を命じ、性的少数者に対して必要な措置を命じているだけで、性的少数者を差別する者を処罰するための差別禁止法ではないからです。
罰則規定はあるが情報漏洩や虚偽報告に対するモノ
自民党特命委員会が提出しているLGBT理解増進法案の38条と39条には罰則についての記述があり、38条は1年以下の懲役、または50万円以下の罰金、39条は20万円以下の過料です。
ネット右翼はこれを捻じ曲げて、「ホラ!罰則がある」と言うかも知れないので、説明しておきますが、これは地域で性差別の解消に取り組む協議会の構成員が情報収集の上で知り得た秘密を漏洩したり、企業主や学校長が所管の大臣に情報提供を求められた際に虚偽報告をしたり、勧告や指導に従わなかった場合に科せられるものです。これらは行政処分であり、一般人が性的少数者を差別したから罰を科すという性質ではありません。
性的少数者が権利を過剰に求めるのでは?
ネットで流れている情報には、LGBT理解増進法が成立すると法律を根拠に性的少数者が過剰に権利を主張して一般国民との間に逆に差別が生まれるとするモノがあります。これについても筆者はあり得ないと考えます。
LGBT理解増進法案は、学校や行政機関、企業などに対し性的少数者から社会的な障壁の撤廃や環境改善の要請があった時は、個人の権利や利益の侵害にならないように合理的な措置を取るように求めていますが、同時に実施に伴う負担が過重でないときはの一文が必ず挟まれています。これは、性的少数者の合理的ではない理不尽な要求まで聞き入れる必要はないという事であり、性的少数者が法律を振り回して自分達に都合のよい待遇を要求する事に釘を刺しているのです。
デマに惑わされないように
LGBT理解増進法案は、12000文字以上あり、全文を読むのはなかなか大変です。それに性というデリケートな問題を扱う法律で、今後社会が激変してしまうのではないか?と不安を覚える人もいるでしょう。そのため法律案の内容を読まないうちに、LGBTによって国民の生活の不安が脅かされると言われると、つい反対の声を挙げたくなるのかも知れません。
しかし、恐怖心や不信感は、実際に法律の条文を読んだり、このサイトのように難しい内容を分かりやすくかみ砕いたモノを読めば消えると思います。デマに惑わされず法案を正しく理解した上で賛成反対を述べても遅くはないでしょう。
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