EU(欧州連合)のボレル上級代表は「複数の国でF16戦闘機のパイロット訓練が始まってうれしく思う」と発言。世界最強の戦闘機F16の訓練にウクライナのパイロットが参加している事を認めました。ボレル上級代表は具体的な国名としてポーランドを挙げています。ハリウッド映画などで、よく耳にするF16戦闘機ですが、どんな戦闘機なのでしょうか?
高価なF15の廉価版F16
F22やF35が登場するまで世界最強のジェット戦闘機はF15「イーグル」でした。F15の戦歴は華々しく、1979年に最初の撃墜を記録して以来、現在までに100機以上を撃墜し、なおかつ空中戦で撃墜された機体はゼロと、これまで無敗の戦績を保持しています。ただ、F15は高性能と引き換えに非常に高価であり、アメリカ空軍でさえ十分な数を揃える事が困難でした。そこで開発されたのが、安価で軽量なF16「ファイティングファルコン」だったのです。
F15を上回る戦績を挙げるF16
F16はF15と同じエンジンを搭載していますが、F15と違いエンジンは一基だけです。当初は低品質のF15とバカにされたF16ですが、実際にイスラエルに供与されると1週間で44機のシリア軍機を撃墜し損害ゼロの好成績を挙げます。登場から40年間のF16の撃墜数は推定で80機、一方で損害は地対空ミサイルなどによるものを除き、空中戦で撃墜されたものは僅かに2機であるようです。F16はアフガニスタン戦争におけるパキスタン空軍とソ連空軍の戦いに投入されますが、味方の誤射により一機が撃墜されたもののソ連空軍機に撃墜される事はありませんでした。
デンマークやベルギーイギリスとも協議か?
オランダのオロングレン国防相はウクライナ人パイロットの訓練開始に向けてデンマークやベルギー、イギリスなどと協議しているとし、これは最初のステップで、まずは戦闘機を操縦できるパイロットを養成し、次はF16戦闘機を供与しうる各国と協議をすると述べています。
ロシアの最新鋭戦闘機はウクライナ領内に入らない
では、ロシアの最新鋭戦闘機は何なのでしょうか?これはsu-57というジェット戦闘機で、2022年6月以降、ウクライナに対する任務についているそうです。ただし、その任務はロシア領内から空対空ミサイルを発射するのみでウクライナ領内には侵入していないとか…その理由として万が一、su-57をウクライナ領内に投入し撃墜された場合、ロシア空軍の威信が著しく失墜する事を恐れているからだとも言われています。現状でさえそうなら、ウクライナ空軍がF16を供与された場合、ロシア空軍が今以上に不利な状況へ追い込まれるかも知れません。
ロシアは核使用をちらつかせる
アメリカが同盟国によるF16戦闘機のウクライナへの供与を容認した事でロシア大統領府のペスコフ報道官は、より高度な種類の兵器がウクライナに供与されても最前線の状況を劇的に変える事は出来ないと牽制。一方、ロシア安全保障会議のメドベージェフ副議長は訪問先のラオスで、再び核兵器の使用をチラつかせました。
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