12月18日でグランドフィナーレを迎えた鎌倉殿の13人。そして誰もいなくなったというレベルで消えていく出演者の中で、視聴者の癒しを担当したのがラブリー坊主、阿野全成と実衣の夫婦でした。しかし、この全成殿、当初の脚本では色々企んでいる生臭坊主だったそうです。それが変化したのは、ぜんみい夫婦の癒しの波動のお陰でした。
当初は企む悪僧だった阿野全成
5か月間、阿野全成を演じた新納慎也さん、当初三谷氏から「全成は色々企んでいる悪い坊主だから」と言われ、それに沿って悪い顔をしたり怪しい雰囲気を出していたそうです。それが、実衣とくっつくようになってからどんどんコミカルになり、イタコの口寄せのように紫式部のモノマネまでするコメディーキャラになってしまったとか、オカシイなと思っていると役の終盤に三谷氏から「方向転換したごめんね」の一言があったそうです。
殺伐としたドラマに癒しをもたらした夫婦善哉
三谷氏は視聴者の反応によって脚本を変える事で知られています。ドラマは北条一族が鎌倉幕府の中で権力を掌握するために政敵を次々葬る内容なので、特に後半は話が陰惨になりがちでしたが、その中で視聴者の癒しになっていたのが権力とは無関係な全成と実衣のほのぼのしたやりとりでした。Twitterなどでは、ぜんみいと呼ばれドラマ唯一のオアシスとまで言われていた2人のパート。その中で三谷氏の脚本も変化し、権力に執着する生臭坊主から、妻を愛し平凡な暮らしを何より大事にするラブリー坊主全成が誕生したのです。
対照的だった公暁と全成
新納慎也さんは、寛一郎さんが演じた公暁と全成が同じような境遇にありながら対照的な最期を迎えた事に注目しています。確かに全成も公暁も同じく源氏の貴種として、幼くして仏門に入り高僧になりますが、ドラマの全成が権力から遠ざかろうとしたのに対し公暁は野心に満ちていて、実朝を殺してまで鎌倉殿の地位を狙っていました。これは歴史上そうだからという部分もありますが、公暁には彼を支えてくれる存在がなく権力の高見を目指す事だけが存在意義になったせいかも知れませんね。
同じ墓に入っている全成と実衣と時元
事実は小説より奇なりというか、実際に全成の墓には妻である阿波局(実衣)や息子の時元も一緒に葬られているそうです。死んでから後も家族仲良く過ごしたいという思いがあったのかも知れませんね。
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