この記事の目次
- 1ページ目
- 英雄とは
- 英雄の定義
- 曹操は英雄であったのかその1:既存の物を壊して想像した人物なのか
- 既存の人材登用方法を無視した、新たな登用方法「求賢令」制定
- 求賢令とはいったいどういう制度
- 2ページ目
- 英雄の定義その2:カリスマ性があり、人を引き付けてやまない人物
- カリスマ性に富んでいた実績
- 英雄の定義その3:多彩な能力を持っており、戦にも強かった(個人の武ではなく、政略・戦術で優れていた)人物
- 1:曹操は多彩な能力を有していたのか
- 3ページ目
- 2.戦にも強かった(個人の武ではなく、戦術で優れていた)人物
- 67戦58勝
- 英雄の定義その4:史家からの視点で英雄であったと評価をもらっている人物
- 陳寿の評価
- 中華民国の文学者「魯迅」の評価
- 曹操は英雄たり得るのか…
- 三国志ライター黒田廉の独り言
英雄の定義その2:カリスマ性があり、人を引き付けてやまない人物
二つ目の英雄の定義であるカリスマ性があり、人を引き付けてやまない人物。
曹操は果たしてこの定義に当てはまる人物であったのでしょうか。
今回はこのことについて述べていきたいと思います。
カリスマ性に富んでいた実績
曹操は政治・文学・軍略などあらゆる方面において優れていた人物で、
彼の元には多くの人材が集まってきます。
また敵であった者も曹操の魅力にひかれて、味方になったものもおります。
その代表例として有名なのは賈詡(かく)と言えるでしょう。
彼は一時期曹操を追い詰めたことのある人物ですが、
ある時期を見計らって主君である張繍と共に曹操へ降伏します。
張繍は曹操と袁紹が決戦を行う時期に差し掛かると、袁紹へ味方しようと考えます。
しかし賈詡は張繍へ「今曹操は袁紹との兵力差を埋めるために、
いろいろな手を打っているはずです。
そこでまとまった兵力を持っている我らが降伏を曹操へ申し入れれば間違えなく、
優遇されるはずです。」と進言します。
この時賈詡の進言を聞かずに袁紹と同盟を結んで曹操を攻撃することもできたのですが、
賈詡は大勢力である袁紹と手を結ぶことはせずに、弱小勢力であった曹操へ降伏するように
主を促します。
この時賈詡が曹操に魅力を感じていなかったら、敵対していた曹操へ降伏するべしと進言を
しなかったはずです。
彼が曹操に魅力を感じていたからこそ張繍へ曹操に降伏するように提案し、
張繍も曹操へ感じる物があったからこそ、降伏することに決めたのでしょう。
上記が曹操が人材を引き付けてやまない例として、
私が挙げた英雄の定義に当てはまるのではないのでしょうか。
英雄の定義その3:多彩な能力を持っており、戦にも強かった(個人の武ではなく、政略・戦術で優れていた)人物
曹操はカリスマ性を持って、中国各地から様々な人材が彼の元へ集まってきます。
また敵であった者でも彼は能力に秀でていれば、用いています。
このように公平な人材登用を行い既存の登用制度を真っ向から否定する姿勢を見せ、
新たな物を生み出しております。
こうして英雄の定義である二つをクリアした曹操ですが、
三つ目の定義である3多彩な能力を持っており、
戦にも強かった(個人の武ではなく、政略・戦術で優れていた)人物だったのでしょうか。
この条件は2つ重なって一つの条件となっているので、一つずつ検証していきたいと思います。
1:曹操は多彩な能力を有していたのか
まず英雄の定義のその3の一つである多彩な能力を曹操が、
有していたのかどうかを調べてみました。
彼は結果から先に述べると、三国志に登場する群雄の中で一番多彩な能力を持った人物でした。
詩に強い関心を持っており、戦や政治などで非常に忙しい毎日を過ごしておりましたが、
少しお暇を見つけると詩が上手い配下を呼んできて、詩に興じておりました、
また詩人としても優れており自ら優れて詩人を配下に加えて、
後漢王朝の最高権力者となったときに彼らを庇護して、5言詩からなる文学を築き上げます。
曹操が庇護する前の文学は儒教などの型に囚われて詩文を製作しておりましたが、
曹操が建安文学を立ち上げてからは、型に囚われず、自由に詩文を製作させることで
多くの秀逸な文学が世の中に解き放たれることになり、後世にまで多くの文学者の名が
残ることになります。
ほかにも彼は兵法書である「孫氏」の兵法書に注訳をつけております。
彼がつけた孫氏の注訳書の事を「魏武註孫子」と言われ、
現在私たちが目にしている孫氏の兵法書は曹操が注訳を付けている物がほとんどです。
こうして曹操は後世に居る私達にも影響を及ぼしております。
私は上記の実績から曹操が非常に多彩な能力を持った人物であると思いますので、
3番目の英雄の定義の1である多彩な能力を有していた人物である点をクリアしているものと
見なしたいと思います。
【次のページに続きます】