三国志平話
濡須口の戦い




はじめての三国志

menu

春秋時代

【孔門十哲】子貢(しこう)とはどんな人?弁舌なら孔子にも負けない魯の救世主




儒教

 

孔子(こうし)の弟子といえば『論語(ろんご)』にいくつかエピソードがあるだけで、

その人物像や活躍ぶりについてはほとんど謎に包まれていることが多いです。

 

しかし、孔門十哲(こうもんじってつ)に数えられる子貢(しこう)については、

その活躍ぶりや人となりをあらゆる書物から知ることができます。

 

論語(ろんご)』や『春秋左氏伝(しゅんじゅうさしでん)』といった儒教の経典はもちろん、

司馬遷(しばせん)が著した歴史書である『史記(しき)』、

そして『墨子(ぼくし)』や『荘子(そうし)』、『韓非(かんぴし)』といった他の思想書にも

子貢の姿が描かれているのです。

 

どうやら歴史上に名を刻むにふさわしい大人物だったらしい子貢。

今回は、そんな子貢についてご紹介したいと思います。

 

関連記事:孔融(こうゆう)とはどんな人?孔子の子孫だが、曹操を批判して身を亡ぼした学者

関連記事:【春秋時代の覇者から学ぶ】桓公・勾践・呉起から学ぶ!明日から使えるリーダー力

 

 

孔子を称える子貢の言葉はまさに錦心繍口

孔子を称える子貢の言葉はまさに錦心繍口

 

孔子が「言語は宰我(さいが)子貢(しこう)」と称しているように、

子貢は雄弁な人物であったようです。

 

彼の雄弁さは孔子に限らず多くの人が褒めそやしており、

人から「孔子よりも君の方が優れているよ」

と言われることも多々ありました。

 

そんなとき、子貢は決して天狗(てんぐ)になることなく、

得意の弁舌をもってして孔子の方が素晴らしいことを相手に(さと)しました。

 

「屋敷の塀にたとえれば、

私の家の塀は肩くらいの高さですから、

家の中が小奇麗(こぎれい)であることが(うかが)えるでしょう。

しかし、先生の家の塀は優に背丈以上の高さがありますから、

門を叩いて中に入らなければ、

その宗廟(そうびょう)の美しさや役人たちの元気な様子を見ることができません。

その上敷地が広大すぎてその門を見つけることができる人が少ないようですから、

子服景伯(しふくけいはく)殿が私を先生より優れていると言われたのも仕方のないことです。」

(『論語』子張(しちょう)篇)

 

見事な比喩(ひゆ)表現で相手を言いくるめる子貢の言葉はまさに錦心繍口(きんしんしゅうこう)

そして、常に師を立てるその姿勢は弟子の(かがみ)と言えるでしょう。

 

最後にちょっぴり皮肉をきかせているあたり、

孔子の教えだけではなくその弁舌もしっかり継承していることが窺えますよね。

 

 

 

魯を滅亡の危機から救い出した救世主

 

()哀公(あいこう)の時代、

臥薪嘗胆(がしんしょうたん)」で有名な呉王夫差(ごおうふさ)(せい)を討って魯に迫り、

魯に対して百頭以上の牛や豚、羊などを使ったご馳走を用意して

呉軍をもてなすように要求してきました。

 

しかし、そんな要求を受け入れるわけにはいきません。

さりとて「無理。」と一方的に突っぱねれば呉との関係が悪くなってしまいます。

 

そこで魯の大夫・季康子(きこうし)

孔子とその弟子・子貢を呉王のもとに派遣。

 

孔子と子貢は周の礼を呉王に説き、

呉王を納得させて要求を取り下げさせることに成功しました。

 

しかし、一難去ったかと思えばまた一難。

今度は斉が攻めてきて(ゆう)を3つも奪っていき、

以後何年もドンパチ争うことになってしまいます。

 

度重なる戦で疲弊しきった魯は、

戦ではなく外交によって奪われた邑を取り返そうと考えます。

 

その外交官として選ばれたのが大夫・子服景伯と子貢でした。

 

子貢は子服景伯をうまくフォローし、

斉から奪われた邑を取り返すことに見事成功。

 

子貢のフォローに感じ入った子服景伯は、

それ以降「子貢は孔子よりすごい!」と周囲に熱く語ってまわったのでした。

 

リアリズムと悪の教科書
君主論

 

財神にもなった子貢

 

外交官として目覚ましい活躍を見せた子貢ですが、

彼には商才もあったようです。

 

そんな彼は『史記』貨殖(かしょく)列伝にもその名を連ね、

その記述によれば、魯国と曹国で物を売買することによって

巨万の富を築き上げたのだとか。

 

隣の国で安く仕入れたものを自分の国でちょっと高く売り、

逆に自国で安く仕入れたものを隣の国でちょっと高く売る

というようなことを繰り返していたのでしょう。

 

そんな大金持ちの彼は様々な国の諸侯とも交流があったようで、

孔子が有名になれたのは子貢のおかげだなんていわれることもあるようです。

 

清貧を良しとする孔子は子貢の商才について次のように述べています。

 

顔回(がんかい)は理想に近い。

学問の道を楽しんで富を求めるからよく貧窮(ひんきゅう)する。

一方、子貢は天命に身を任せることなく自ら金儲けをする。

子貢が予想したことはよく当たるのだ。」(『論語』先進篇)

 

孔子は顔回の清貧を地で行く生き方を肯定しており、

子貢が学問以外のことにも手を伸ばしていることについてちょっと不満げな様子です。

 

しかし、彼が富を築くことができるのは、

彼の先を見通す能力が優れているためであると認めています。

 

孔子からはちょっぴり眉を(ひそ)められていた子貢ですが、

彼は後に財神となり、

商売に励む人々の信仰と対象となったのでした。

 

三国志ライターchopsticksの独り言

 

政治に商売に、多方面で活躍を見せた子貢ですが、

その才能に(おご)ることなく、

生涯孔子を師として仰ぎ続けました。

 

彼は孔子の死後、

他の弟子たちが3年喪に服したのに対し、

なんと2倍の6年も喪に服したと言われています。

 

師を凌ぐとさえ言われて謙遜していた彼の言葉が

表面だけ飾り立てた薄っぺらなものではなかったことを裏付けるエピソードです。

 

関連記事:孔子・孟子・筍子?儒教(儒家)ってどんな思想?

関連記事:春秋時代を代表する名君・荘王にも面白い話があった!

 

孔子の愉快な弟子たち『はじめての孔門十哲』
孔門十哲

 

chopsticks

chopsticks

投稿者の記事一覧

清朝考証学を勉強中。
銭大昕の史学考証が専門。
片田舎で隠者さながらの晴耕雨読の日々を満喫中。

好きな歴史人物:
諸葛亮、陶淵明、銭大昕

何か一言:
皆さんのお役に立てるような情報を発信できればと思っています。
どうぞよろしくお願いいたします。

関連記事

  1. 三国志ライター よかミカンさん 【東周英雄伝】古代中国好きの方にオススメのど迫力漫画
  2. 孔子の幼少期から青年期はどんな人だったの?
  3. 春秋と史記に隠された意味がダヴィンチコードレベル
  4. 【孔門十哲】子夏(しか)のどのあたりが文学に長けていたの?
  5. 関羽に無視される孫権 【春秋左氏伝】横恋慕から旦那と主君を殺し人妻をゲットした華父督
  6. 孔子と凄く仲が悪かった隠者とはどんな人達?
  7. 【孔門十哲】仲弓(ちゅうきゅう)ってどんな人?孔子も太鼓判を押し…
  8. キングダムと三国志 信と曹操のはてな(疑問) 呉王殺害に成功した暗殺者・専諸ってどんな方法で暗殺に成功したの?…

google検索フォーム

過去記事を検索できます

ピックアップ記事

おすすめ記事

  1. 【日本神話の逆襲】卑弥呼に国を奪われた大国主とニギハヤヒの復讐
  2. 天下人・豊臣秀吉が過去に仕えていた松下綱之ってどんな人? 豊臣秀吉 戦国時代
  3. 赤壁の敗戦の原因は腸チフスだった?多くの魏将の生命を奪った伝染病とは?
  4. 【キングダム】李牧が言った「桓騎の弱点」って何なの?
  5. 「でいぜろバンコク」のスポンサーになりました
  6. 【おんな城主 直虎を見逃した方必見】第四話「女子にこそあれ次郎法師」の見どころ 三国志ライター黒田レン

三國志雑学

“はじめての三国志150万PV" はじめての三国志コミュニティ総合トピック
“広告募集"

はじめての三国志 書籍情報


著:kawauso 価格480円
※Kindle読み放題対応

ピックアップ記事

おすすめ記事

諸葛亮が三人目の後継者候補を言わなかったのはなぜ? 残忍な曹丕 【権力を巡る兄弟の確執】曹丕&曹植 VS 後白河天皇&崇徳天皇 【春秋戦国時代の名言】俺は卑怯な真似はしない by 宋襄の仁 西洋が好きな霊帝 刑顒(けいぎょう)とはどんな人?三国志時代の曹植家に仕えていた執事 榎本武揚 函館戦争とは?戊辰戦争最後の戦争を分かりやすく解説 129話:死せる孔明生ける仲達を走らす 郤正(げきせい)とはどんな人?蜀のポンコツ皇帝を支えた文学者 はじめての三国志 好きな武将アンケート

おすすめ記事

  1. 三国時代では数学が出来ないと下級役人にもなれない?算籌を徹底紹介!
  2. 【コラボ企画】はじめての三国志 x レキシズル 3月25日開催決定
  3. 三国志ロワイヤル-みんなのサンロワ-とはどんなアプリゲーム?
  4. 公孫康(こうそんこう)とはどんな人?虚を捨て、実を取り遼東に安寧をもたらした男【遼東三代記】
  5. はじめての三国志Kindle Unlimited読み放題サービスを紹介するよ!
  6. 曹植も詠んだ詠史詩の魅力とは? 曹植
  7. 三国一のヨイショ男、曹操の部下の褒め方が半端ない
  8. 【蜀の滅亡へのカウントダウン】こうして蜀の国は滅びへ至った

はじさん企画

袁術祭り
李傕祭り
帝政ローマ
広告募集
まだ漢王朝で消耗してるの?
HMR
ライフハック
君主論

ビジネス三国志
春秋戦国時代
日常生活
曹操vs信長
架空戦記
ライセンシー
北伐
呂布vs項羽
編集長日記
はじめての三国志TV
“曹操孟徳" “黄巾賊" “赤壁の戦い" “THE一騎打ち" “夷陵の戦い" “kawausoのぼやき記事" “よかミカンのブラック三国志"
“邪馬台国"

“三国志人物事典"

PAGE TOP