皆さんはどんな言葉を「座右の銘」にしていますか?
就活で聞かれるからといって無理矢理座右の銘を決めたという人も中にはいるかもしれませんが、座右の銘とは自分自身を戒めたり励ましたりするための常に心にとどめておきたい言葉ですから、あなたの心に本当に響くものでないと意味がありません。今回は、あなたの心にきっと響く、『論語』に見える金言10選をご紹介したいと思います。
この記事の目次
過てば則ち改むるに憚かること勿かれ
この言葉は学而篇に見えます。間違えてしまうことは誰にでもあることだから、それを認めまいと意地を張らずにすぐに改めなさい。
変なプライドを守るために意固地になってしまわぬよう、常にこの言葉を心の片隅に置いておきたいものです。
義を見て為ざるは勇なきなり
『論語』に見える言葉の中でも有名なこの言葉は、為政篇に見えます。
「正しいことを正しいと知りながらしないということは臆病だ」
という孔子のこの言葉はあらゆる場面で私たちを励ましてくれそうですよね。
己を知ること莫きを患えず、知らるべきことを為すを求む
里仁篇に見えるこの言葉は、功名心にはやる現代人の心を戒めてくれます。
孔子はこの言葉の前に
「位無きことを患えず、立つ所以を患う。」
と述べています。
地位のないことを気にかけず、地位をえるための正しい方法をきにかけるべきだと言っているのです。そして孔子は、自分を認めてくれる人がいないことを気にかけるのではなく、認められるだけのことをしようとつとめるように励ましているのです。
賢を見ては斉しからんことを思い、不賢を見ては内に自ら省みる
「すぐれた人を見れば同じようにすぐれた人になりたいと思い、つまらない人を見れば、自分はこの人と同じようになっていないかと我が身を省みることだ。」
常に謙虚な姿勢を崩してはいけないという里仁篇に見える戒めの言葉です。優れた人を素直に称賛してかくありたいと思い、つまらない人をただただ馬鹿にするのではなく、自分は大丈夫かと内省するということは、意外とできないことですからね。
徳は孤ならず、必らず隣あり
「道徳のある者が孤立することはない。きっと親しい仲間ができるだろう。」
という孔子のこの言葉はやはり里仁篇に見えます。今はたとえ一人ぼっちでも、正しい道徳の心を持ち続ければいつかきっと理解者が現れる。この言葉は、逆境に身を置く正しい人を大いに励ましてくれるでしょう。
仁者は難きを先きにして獲るを後にす
人は易きに流れやすい生き物ですから、難しいことは後回しにしてしまいがち。それを戒めてくれるのが、雍也篇に見えるこの言葉です。仁の心を持つ人は、先に小利を得るのではなく、成し遂げがたいことを先に終わらせ、後で大きな利益を得るものだ。何かと得をする人は、労することを惜しまないということを念頭に置きながら、日々の生活を充実したものにしていきたいですね。
後生畏るべし
長幼の序が重んじられる日本では、歳が若いというだけで相手を軽んじる人が少なくありません。そんな風潮を打破する力を秘めているのが子罕篇に見えるこの言葉。自分より後に生まれた人には畏敬の念をもって接するべきだと主張した孔子は、今は自分より劣っていたとしても、これから伸びしろのある若者が自分より優れた人物にならないことなどどうして言い切れるだろうかと考えていたのです。
己の欲せざる所は人に施すこと勿かれ
「自分が望まないことを人にさせようとしてはいけない」
「自分が嫌なことは人にしてはいけない」
このようなことを幼少期から耳にタコができるくらい親に言われ続けたという人もいるでしょう。子供への言いつけのようで陳腐に感じる人もいるかもしれませんが、子供にも言いきかせなければいけないほど価値のある言葉ととらえることもできるのではないでしょうか。
顔淵篇に見えるこの言葉は子供から大人まで未来永劫大切にしていきたい金言です。
君子は和して同ぜず、小人は同じて和せず
「素晴らしい人物は人と調和しても付和雷同することはないが、つまらない人は付和雷同することはあっても調和しない。」この言葉は子路篇に見えます。「和」と「同」には大きな隔たりがあるということを孔子は述べているのですね。
あなたは「和」を重んじることができているでしょうか?
君子は矜にして争わず、群して党せず
孔子のこの言葉は衛霊公篇に見えます。
「君子は謹厳ではあるが争うことはなく、大勢の人と一緒にいても徒党を組むことはしない。」
政治家に聞かせてあげたくなる言葉ですね。
三国志ライターchopsticksの独り言
今回紹介した言葉以外にも、『論語』には座右の銘にしたい言葉がたくさん眠っています。皆さんも書店で『論語』を手に取って、人生を豊かにする言葉を探してみてはいかがでしょうか。
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