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この記事の目次
文帝と呼ばれた男
曹丕は在位期間が七年ほどと短いので判断が難しい所もありますが、後漢時代の政治形態を改めるべく様々な政策を実行しています。特に注目したいのが宦官を一定の地位に付けないようにしたこと。
これは特に漢の時代が宦官によって狂わされてきたのを何とかしようと画策したのではないでしょうか。同時に郭皇后を立てた際には皇后への奏上を禁止することで外戚の政治関与を禁じるなど、前時代の悲劇を繰り返さないようにいくつもの対処をしているのは注目ポイントですね。
曹丕の手紙はイメージが変わる一品
因みに曹丕の遺したいくつかの手紙、特にぜひ呉質への手紙や詩を読んでみて欲しいです。非常にロマンチストで繊細な曹丕の別側面が浮かび上がることでしょう。しかし曹丕はその繊細でロマンチストな一面を持ちながら、自分が死んだ時の葬儀の指定などのリアリストな一面も併せ持っているのが特徴。
この二面性もまた曹丕の魅力だと思います。個人的には決して良い性格ではないものの、魅力的な人物ではあるというのが曹丕のイメージですね。あと抱え込んだ身内にめっちゃあまい。
あまーい!
さて最後に小話で締めましょう。あまーいと言えば果物、曹丕に関係する果物と言えば良く葡萄が挙げられます。その一方で曹丕は「蜜柑すっぱくておいしくない」と言ったり「飴って甘さがくどいから好きじゃない」と言ったり、まぁこれは意訳ですが何かやたらとグルメ批評のような話が残されています。
これをなんかお茶目な人だな、と思うか、それともいやいや皇帝だからこんな話でも残ったんでしょ、で終わるか……皆さんは曹丕に、どんなイメージを抱きましたか?
三国志ライター センのひとりごと
繰り返しますが、曹丕の性格は決して良いとは言えません。ただし曹丕は政治や文学関連で短い間にも数多くの才能を発揮し、しかも実生活ではなんか割とお茶目な逸話も持っている魅力ある人物です。なので曹丕と言えばただ冷酷、というのではなく、まずはその人物像を良く知ってみて欲しいです。これで結構ギャップ萌えな人だと思いますよ。
文:セン
参考文献:魏書文帝紀 曹植伝 魏氏春秋 世説新語 魏略
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