レポーター「あなたにとって彼女って何ですか?」
男「空気ッスかね?」
レポーター「どういうことでしょうか?」
男「ないと窒息しちゃう、みたいな?」
こんなインタビューを見て、テレビのリモコンをブチ折りたくなった人も少なくないのではないでしょうか…?
そのままお前の彼女の存在も空気のように透明になって消えてしまえばいい!…なんて意地悪はさておき、実は、三国時代のあの人もかけがえのない存在をうまくたとえていたのですよ。
劉備、諸葛亮にご執心
何度も何度も草廬を訪ねてようやく諸葛亮をゲットした劉備。劉備は諸葛亮を迎え入れたその日から、諸葛亮に首ったけでした。
諸葛亮の口から飛び出す天下三分の計をはじめとするあらゆる知恵に劉備はすっかり虜になってしまったのです。劉備は朝起きてから夜眠りにつくまで、片時も諸葛亮を離さなかったといいます。
主君と臣下の垣根を取っ払ったかのような交わりに微笑ましさすら覚えますよね。しかし、そんな2人の関係を良しとしない者の姿があったのでした…。
関羽・張飛、嫉妬の炎を燃やす
劉備に古くから付き従ってきた者たちは、突然現れて劉備に可愛がられている諸葛亮を見てざわざわ。
その中でも、特にブーブーブー垂れていたのが関羽と張飛でした。そもそもこの2人は、何の実績も無い上に二回り以上年の離れた諸葛亮を劉備が三顧の礼をもって迎え入れたことについても不満タラタラ。
おまけに自分たちとの交流をおろそかにして四六時中劉備にくっついている諸葛亮の存在が憎たらしくて仕方がなかったのです。
張飛「戦も知らない若造の分際で、ちょっと口が回るくらいでいい気になりやがって…」
関羽「偉そうなことをほざいているようだが、実践でその馬脚をあらわして恥をかくことになるさ…」
ネチネチと諸葛亮の陰口をたたきまくる2人…。そんな2人の陰口は、当然劉備の耳にも届きます。
「はてさて、すっかりスネてしまった2人をなんとかなだめなければ…。」
そう考えた劉備はある言葉を使って諸葛亮と自分の関係を関羽と張飛に説明しようと思いついたのでした。
孔明がいないと生きていけないの!
臣下たちの不満がいよいよ募ってくると、関羽と張飛は劉備に対して直接文句を言ってやろうと決心します。2人は劉備に対して諸葛亮の待遇についての不満を洗いざらいぶちまけ、改善するように要求したのでした。
これを受けて劉備は次のように答えます。「私が諸葛亮を得たのは魚が水を得たようなものなのだ。どうかこれ以上文句を言わないでくれ。」魚は水が無いと生きられません。劉備は諸葛亮がいないと生きられないと2人を説得したのです。こうまで言われては引き下がるしかありません。
しかし、張飛なら、「諸葛亮が水ぅ!?
じゃあ兄貴は今までどうやって生きてたんだよ!」
なんて言いそうですよね。でも、それを言わなかったことにはわけがあったのです。
孔明は俺の嫁!
劉備が自分を魚にたとえ、諸葛亮を水にたとえたのにはちょっと深いわけがありました。その当時は、夫婦の仲が睦まじいことも魚と水の関係にたとえられていました。そのため、劉備が語った水と魚の関係は、自分と諸葛亮が夫と妻のような関係であるということも暗に示していたと考えられます。
劉備と義兄弟の契りを交わした関羽と張飛には、夫婦の仲に干渉する権利なんてありませんよね。自分の兄が誰かと結婚したからといって、兄の嫁に嫉妬するなんて筋違いも良い所というわけです。
三国志ライターchopsticksの独り言
劉備が語った「水魚の交わり」を聞いて引き下がった関羽と張飛は、自分たちが兄の嫁に嫉妬の感情を抱くという何とも絵面の悪いことになっていたことに気づいて反省したようで、その後諸葛亮の悪口を言うことは無くなったようです。
劉備はもしかしたら、自分と言う魚の兄弟である関羽や張飛もまた魚であり、水である諸葛亮は2人にとっても必要な存在であるというメッセージを込めていたのかもしれません。もしそれほどまでに含みのある言葉だったのなら、2人がすんなり納得したのも頷ける気がしませんか?
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