西洋の名画って、陰影がハッキリしていて場面が劇的なので、ついつい知っている蘊蓄を語りたくなってしまいますよね?でも、そのような西洋絵画には誤って伝わっている逸話も多いようなのです。
レンブラント 夜警
オランダの画家レンブラントが描いた「夜警」ですが、こちらは画面が全体的に暗いせいか「夜景」と勘違いされて覚えられる事が多いです。しかし実際は「夜警」で、夜中に市中をパトロールする自警団を描いたものなのです。レンブラントは光と影を巧みに使う画家ですが、そのイメージが夜景という誤ったイメージを与えたかも知れません。
ボッティチェリ ヴィーナスの誕生
ルネサンス期のイタリアで活躍した画家ボッティチェリの名画がヴィーナスの誕生です。こちらはタイトルのイメージで真珠貝の中からヴィーナスが生まれたと誤って覚える人が多いのですが、実際のヴィーナスは海の泡から生まれ、繁殖の象徴であるホタテ貝に乗って、風の神、ゼピュロスが吹きだす風に乗って岸にたどり着きました。ヴィーナスの誕生は、ヴィーナスが岸にたどり着いた瞬間を描いた絵なのです。映画バロンでもヴィーナスはホタテ貝の中から出てきましたから、それで勘違いしている人も多いのかも知れませんね。
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ミレー 落穂拾い
19世紀のフランスの画家、ミレーの名画「落穂拾い」これを「落ち葉拾い」と誤って覚えてた人も多いのではないでしょうか?「そもそも、落穂を拾うとは何なのか?」これが分からない人が日本人の大半になったので、このような誤解が生まれたのかも知れません。
欧州の麦畑では、日本とは異なり、畑に種をばら撒いて育った株を柄の長い鎌で立ったまま薙ぐように刈り倒してフォークで集めて脱穀します。このように大雑把なので、集めきれなかった落穂が多数地面に残されました。この時に取り残された落穂は、貧しく十分な収穫が得られない寡婦や貧農などが命をつなぐために拾い集めてよいと旧約聖書レビ記の律法で定められていて、畑の持ち主が全ての落ち穂を回収する事は戒められていました。つまり描かれているのは地主ではなく、十分に食べていく事が出来ない貧しい寡婦や貧農で、ミレーは同情と大地と共に生きる人々への尊敬の念を込めて、落穂拾いを描いたのです。
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