賢者は歴史に学び愚者は経験に学ぶや、過去に目を閉ざすものは現在においても盲目になるなど、巷には歴史に学ぼうという風潮があります。かく言う筆者もはじめての三国志なる中国の歴史記事を書いているのですが、この常識のように見える「歴史から学ぶ」を全否定した社会学者がいました。人間が歴史から学ぶ事は危険だと唱える彼の主張はどんなものでしょうか?
人間は自分に甘い
社会学者のダンカン・ワッツは、人間が歴史から学ぶことは危険だと主張しています。彼は、人間が過去と現在を必然的だと思い込みたがり、成功しているものを過剰に評価し、自己中心的になるという3つの問題点を指摘しています。これにより、過去の成功体験に目がくらみ、自社の強さを過信し改革やイノベーションが遅れ、大失敗につながることがあると述べているのです。
過去の歴史ではなく衆知と対照実験に学ぶ
ワッツは、過去の歴史から学ぶ代わりに、現在から学ぶ方法を提案しています。具体的には、オープンイノベーション、ブライトスポットアプローチ、実地での対照実験の3つを挙げています。これにより、自社だけで問題を解決するのではなく、広く世間に問題を提示して意見を求め、業績が悪い部署だけでなく、好成績を挙げている部署にも注目して調査することで、より客観的な原因を見つけることができると考えています。
まとめ
ワッツは、人間が持つ先入観によって過去の歴史が歪められることを指摘しています。敗者は最初から負けるべくして存在し、勝者は最初から勝つべくして存在しているという先入観にとらわれてしまうと、偶然が排除され、必然だらけの歴史になってしまうと主張しているのです。つまり、ワッツは、過去の成功や失敗にとらわれずに、現在の状況に目を向け、客観的に調査することが大切だと訴えています。
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