蟻の中には一定数働かない奴がいるというのは、皆さんもトリビアで聞いた事があると思います。そんな働かない蟻を見て、羨ましいと思う人も腹を立てる人もいるでしょう。しかし、実は働かない蟻は怠けているのではなく、大切な役割があるってご存知ですか?1億年前から組織を築いてきた蟻さんが教える「働かない蟻」の重要な役割を解説しましょう。
厳密に言うと働かない蟻はいない
ちゃぶ台をひっくり返すようで恐縮ですが、厳密に言うと働かない蟻はいないそうです。ただ、蟻は個体によって働き始めるのに必要な刺激がそれぞれ違っていて、少しの刺激ですぐに働き出すせっかちな蟻がいる反面、かなり刺激を受けないと働かないのんびりした蟻もいます。
蟻の集団には、このような働きはじめる閾値にグラデーションがあり、最初に働き始めた蟻が疲れた頃に、次に働き始めた蟻が交替する事で、24時間組織として動き続ける事が可能なのです。ちなみに蟻は夜中も活動していますが1日の間に1分程度の休憩を250回摂っているそうで、その合計は5時間にもなるのだとか…
蟻が動きを止めると動き出す蟻がいる
また、普段働かない蟻は、他の蟻が動きを止めると突如として動き出して組織を守る為に活動を開始します。このように働いている蟻がいる一方で働かない蟻がいる事で、蟻の組織は、全ての蟻が疲れ果てて動けなくなるピンチを回避しているのです。
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人間の組織でも蟻さんの知恵は生きる
人間も蟻には遠く及びませんが、進化の過程で組織を作るようになりました。ところが人間は蟻よりも経験が浅いせいか、効率重視で組織の全員がフル稼働してしまい、一切の余裕がなくなる場合もあります。しかし、このような組織は人間関係がギスギスしていき、返って創造的な仕事が出来なくなるのです。
組織を管理する人間は蟻さんの事例に学び、仕事はあまり出来ないけど、ムードメーカーだとか、仕事は普通だけど課内のトラブルの調停が上手だとか、仕事には直接関係していないけど、組織の維持に必要不可欠な人を見出して、組織の中で役割を与えて重要性を周囲に認知させ、やる気を引き出す必要があるでしょう。
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