大企業の経営者や立憲君主国の皇太子が学ぶ学問として知られる帝王学。いかにも古くから存在する言葉のようですが、実際には帝王学という言葉は最近まで存在せず、帝王学というタイトルの中国古典も存在しないってご存知ですか?
■990年代の「帝王学ブーム」が火付け役
帝王学という言葉が一般に普及したのは、今から30年あまり前、伊藤肇著「現代の帝王学」や山本七平著「帝王学 / 貞観政要の読み方」が非常によく読まれたからです。この時代はバブル崩壊直後で日本が失われた30年に入る矢先の時代、経済が急速に失速する中で組織のリーダーはどうあるべきか?というハウツー本が求められた時代でした。両氏の本はよく売れ、メディアでも盛んに帝王学をテーマにした番組が作られた事から古典には存在しない帝王学という言葉が一般化し、辞書に掲載されるほどになりました。
帝王学のテキストとは?
このように帝王学という言葉は造語なのですが、古来から人の上に立つ事を義務付けられた人間に対する帝王教育のテキストは存在しました。代表的な中国古典としては、書経や貞観政要、孫子、韓非子、荀子があります。この中の書経と貞観政要のテキストは経営者の心構えにも役立つとして、MBA(経営学修士)の履修科目にも含まれています。
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