「帝王学」とは1990年代まで存在しないビジネス造語だった?

2023年3月31日


ビル・ゲイツ

 

大企業の経営者や立憲君主国の皇太子が学ぶ学問として知られる帝王学。いかにも古くから存在する言葉のようですが、実際には帝王学という言葉は最近まで存在せず、帝王学というタイトルの中国古典も存在しないってご存知ですか?

 

 

監修者

ishihara masamitsu(石原 昌光)kawauso編集長

kawauso 編集長(石原 昌光)

「はじめての三国志」にライターとして参画後、歴史に関する深い知識を活かし活動する編集者・ライター。現在は、日本史から世界史まで幅広いジャンルの記事を1万本以上手がける編集長に。故郷沖縄の歴史に関する勉強会を開催するなどして地域を盛り上げる活動にも精力的に取り組んでいる。FM局FMコザやFMうるまにてラジオパーソナリティを務める他、紙媒体やwebメディアでの掲載多数。大手ゲーム事業の企画立案・監修やセミナーの講師を務めるなど活躍中。

コンテンツ制作責任者

おとぼけ

おとぼけ(田畑 雄貴)

PC関連プロダクトデザイン企業のEC運営を担当。並行してインテリア・雑貨のECを立ち上げ後、2014年2月「GMOインターネット株式会社」を通じて事業売却。その後、「はじめての三国志」を創設。戦略設計から実行までの知見を得るためにBtoBプラットフォーム会社、SEOコンサルティング会社にてWEBディレクターとして従事。現在はコンテンツ制作責任者として「わかるたのしさ」を実感して頂けることを大切にコンテンツ制作を行っている。キーワード設計からコンテンツ編集までを取り仕切るディレクションを担当。


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■990年代の「帝王学ブーム」が火付け役

中国最古の薬物学書『神農本草経』(書類)

 

帝王学という言葉が一般に普及したのは、今から30年あまり前、伊藤肇著「現代の帝王学」や山本七平著「帝王学 / 貞観政要の読み方」が非常によく読まれたからです。この時代はバブル崩壊直後で日本が失われた30年に入る矢先の時代、経済が急速に失速する中で組織のリーダーはどうあるべきか?というハウツー本が求められた時代でした。両氏の本はよく売れ、メディアでも盛んに帝王学をテーマにした番組が作られた事から古典には存在しない帝王学という言葉が一般化し、辞書に掲載されるほどになりました。

 

 

 

 



帝王学のテキストとは?

西遊記はどうやって誕生したの

 

このように帝王学という言葉は造語なのですが、古来から人の上に立つ事を義務付けられた人間に対する帝王教育のテキストは存在しました。代表的な中国古典としては、書経や貞観政要、孫子、韓非子、荀子があります。この中の書経と貞観政要のテキストは経営者の心構えにも役立つとして、MBA(経営学修士)の履修科目にも含まれています。

 

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台湾より南、フィリピンよりは北の南の島出身、「はじめての三国志」の創業メンバーで古すぎる株。もう、葉っぱがボロボロなので抜く事は困難。本当は三国志より幕末が好きというのは公然のヒミツ。三国志は正史から入ったので、実は演義を書く方がずっと神経を使う天邪鬼。

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