甘くて芯まで食べられる台湾パインは、元々中国向けに輸出されていましたが、2021年にコロナ検疫や病害虫などを理由として輸出禁止となり、多くの台湾パインが輸出先を失います。その後、台湾政府の輸送費補助などにより価格の安いフィリピンパインと対抗できるようになり、日本向けの輸出は2年間で8倍に増加したそうです。今回は台湾パインの日本への輸出急増の裏事情を紹介しましょう。
呆れた!フィリピンにもパイン禁輸をした中国
元々、台湾ではパイナップルの中国への輸出は盛んではありませんでした。中国政府もパインはフィリピンから輸入していましたが、2013年にフィリピンは南シナ海の領有を巡り国際海洋法裁判所に仲裁を提訴します。その頃から中国のフィリピンからのパイン輸入は大きな増減を繰り返すようになり、逆に2015年頃から台湾産パインの中国への輸入が増大します。何の事はない、中国は領土を巡り紛争があるフィリピンを牽制する為に、パイン輸入を減らし、当時は親中派政権だった台湾パインにシフトしたのです。
独立派の蔡英文政権の樹立で今度は台湾パインを禁輸
しかし、中国においては貿易も政治の延長です。台湾から大量のパインを輸入して、中国への依存を強めさせておいて、台湾政府が中国に不都合な事を言い出すと、パインを禁輸するぞと脅すつもりでした。実際に2021年以降は、独立派の蔡英文総統に対する経済的な圧力をかけるために、台湾産の果物や、養殖魚ハタ、コーリャン酒等々、2千品目を超える食品について、害虫や新型コロナウイルスの検出などを理由に禁輸にしました。
台湾パインを他山の石とすべき
しかし、中国政府の揺さぶりに対して台湾政府は毅然と対応、物価が安いフィリピンパインに負けないように輸送費に補助金を出すようにして台湾パインの輸出先を日本にシフトして、パイン農家の窮地を救ったのです。一党独裁の中国においては、貿易だろうと観光だろうと、中国共産党の意向一つで簡単に停止、禁輸が発動されます。対中国向けの輸出品が多い日本も、他山の石とすべき事例でしょう。
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