外来種というとブラックバスやアメリカザリガニのように、日本の生態系に被害を与えている悪者のイメージです。しかし、日本の固有種が無害かというと、そうでもなく海外に持ち出され、世界で生態系に影響を与えている日本の固有種もいるのです。
クサギカメムシ
クサギカメムシは日本に広く分布するカメムシの一種で、ミカンやリンゴの果汁を吸う病害虫です。2018年に日本からニュージーランドに輸出された1万台の自動車を載せた輸送船から、大量のクサギカメムシが発見され、ニュージーランド政府は船の入港を拒否しました。どうして、大量のクサギカメムシが輸送船に乗り込んだのか不明ですが、ニュージーランド政府は日本に徹底的な対策を求めていて、下手をすると貿易問題になるかも知れません。
ニホンジカ
奈良県民が一家に一頭飼っているかも知れないとか言われるニホンジカは、数が増えすぎた事で林業や農業で被害が深刻になっています。ニホンジカは、昔から狩猟および食用としてヨーロッパやアメリカ、ニュージーランドにも持ち込まれ、日本同様に農林業被害をもたらし、また、現地のシカと交雑し遺伝的撹乱を引き起こしている事が報告されています。
世界の両生類を襲うカエルツボカビ
1990年代から世界中で両生類の皮膚にだけ寄生するカエルツボカビと呼ばれる病原菌が大流行し、各地で希少両生類が絶滅の危機に陥いりました。感染拡大は止まらず、2006年には日本国内で飼育されていた南米産ベルツノガエルへの感染が確認。ツボカビが日本に上陸し、日本の両生類が絶滅するのではないかと恐れられました。
ところが調査の結果、カエルツボカビの病原菌の起源は日本で、日本の両生類はカエルツボカビ菌と互いに影響を与えて進化するという「共進化」を進め、ツボカビ菌に対し抵抗性をつけている事が分かったのです。しかし、海外の両生類にはツボカビ禁への抵抗力がないので、現在でもパンデミックが進行中です。
なんで日本固有種は海外で脅威となるのか?
では、日本では大繁殖しない種が、どうして海外では生態系を脅かすほどに大繁殖するのでしょうか?それは日本の生態系が多様で、複雑なバランスの上で成り立っていて、ジャンケンのように一種類の生物の独り勝ちを許さないからなのだそうです。
ところが、そのような多様なライバルに押されて小さくなっている日本の固有種でも、一転して天敵と複雑な生態系がない場所に放り出されると一気に増殖し迷惑生物になってしまいます。今後は外来種侵入を警戒するだけでなく、日本の固有種を国外に持ち込まない取り組みも必要になってくるでしょう。
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