ChatGPTは、ユーザーが入力した質問に対し、まるで人間のような自然な対話形式でAIが答えるチャットサービスです。無料である事もあり利用者があっという間に1億人を超える大ヒットを記録しました。そのあまりの人間らしい反応から、AIが人類を支配するのでは?なんて噂が出たりしましたが、現時点ではそれはアリエナイ事を解説します。
ChatGPTは自分で考えているわけではない
なんでChatGPTが人間を支配できないと断言できるのか?それはChatGPTが自分で文章を考えているわけではないからです。ChatGPTAIは、ユーザーの質問に対して、それに沿うような答えをインターネットの膨大な情報から選びだして、その後、人間みたいに文章を整理して提示しているだけなのです。例えば、リンゴについて教えてと打ち込むと、ChatGPTはリンゴの種類、味、収穫時期や健康に関する影響などのワードをネットの海から拾い出して並べます。
出鱈目な質問にも反応する
ChatGPTが自分で考えていない?そんなバカなと思う人もいるでしょうから、一つ証拠を提示しましょう。ChatGPTは自分で考えないので、質問者が出した質問の真偽を確認できません。ただ、機械的にその質問から重要そうな言葉をつまみ出し、適当な答えを提示します。例えば筆者は、こんな質問を投げてみました。
日本の偉大なヴァイオリニスト、栂崎嘉一郎について教えて
最初に言っておくと、栂崎嘉一郎なんてヴァイオリニストは存在しません。しかし、ChatGPTは自分で考えないので質問の真偽を確認できません。そして膨大なネット情報からそれらしい答えを出します。
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栂崎嘉一郎(つがさき かいちろう)は、日本の偉大なヴァイオリニストの一人で、1900年に東京で生まれ、1951年に亡くなりました。彼は、日本のクラシック音楽界において、最も偉大なヴァイオリニストの一人として知られています。栂崎は、若い頃から音楽の才能を示し、1928年にパリ音楽院に留学して、ジャック・タイボー、ジョルジュ・エネスコなどの名教師から指導を受けました。彼は、1934年に帰国し、日本で演奏活動を始めました。
その後、1942年には東京音楽学校(現在の東京芸術大学)の教授に就任し、多くの若い音楽家を指導しました。栂崎は、バッハやモーツァルト、ベートーヴェンなどの古典派の作品から、プロコフィエフやショスタコーヴィチなどの現代音楽まで、幅広いレパートリーを持っていました。彼は、その卓越した技巧と繊細な表現力、そして独特の音色で、世界中のオーケストラと共演し、多くの名演奏家たちから賞賛を受けました。栂崎は、戦争中にも演奏活動を続け、その音楽が多くの人々に勇気や希望を与えたと言われています。彼は、日本のクラシック音楽界の発展に多大な貢献をし、その音楽的遺産は今も多くの人々に愛され続けています。
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ここには実在のヴァイオリニストも登場していますが、無論、存在しない塚崎嘉一郎と何も関係ありません。同時代に活躍したフランスの音楽家というだけです。ChatGPTは、筆者の書いた嘘の質問から、それらしいワードを抜き出し、いかにもありそうな作り話をこしらえてしまったのです。
自分で考えられないChatGPTに人類は支配できない
もし、人工知能が人間を支配するなら、そこには自分の意思というものが存在します。自ら考えて、人間の支配に疑問を持つようにならないと人間を従えて支配しようという発想にはならないからです。確かにChatGPTは人間に近い受け答えをしますが、これは自分で考えたのではなく、提示された質問に関連しそうな言葉を拾い出して並べているだけなのですから、人類を支配するには程遠いと言えるでしょう。
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