ロシア有力紙の報道によると、ウクライナ軍がドニプロ川の東岸にあるノバカホフカに上陸し、ロシア軍との間で銃撃戦が起きました。ウクライナ軍は南ドネツク、ザボリージャ、バフムトの3つの拠点で大規模な反転攻勢に移行しています。
ダム決壊で延期していた作戦を決行
ロシアの有力新聞であるイズベスチヤは6月16日、ウクライナ軍が南部ヘルソン州のドニプロ川東岸のノバカホフカに上陸し、ロシア軍と銃撃戦が行われたことを報じました。この報道を裏付けるかのように、ウクライナ軍関係者は16日、自国部隊がノバカホフカで橋頭保を確保するための作戦を開始したことをSNSで明らかにしました。
地元の報道によると、銃撃戦は15日の深夜にノバカホフカで発生しています。ノバカホフカはカホフカ水力発電所ダムの決壊によって洪水被害を受けた地域ですが、その時点では水は引いていたとのことです。元々、ウクライナ軍は大規模な反攻作戦でドニプロ川を渡り、東岸に上陸して南部のクリミア方面に進撃する計画でしたが、ダム決壊のために作戦は延期されていました。
孫子の兵法「声東撃西」
ウクライナ軍は現在、南部と東部で大規模な反攻作戦を展開しています。狙いはロシア軍の戦力を分散させることです。この戦略は、孫子の兵法で言われる「声東撃西」に相当し、陽動作戦を意味します。ノバカホフカへの上陸作戦もこの陽動作戦の一環であり、ウクライナ東南部方面部隊の報道官は攻撃によってロシア軍が東岸に部隊を戻し始めたと指摘しています。
東部の要衝バフムトでもウクライナ軍の進撃続く
また、ウクライナの陸軍司令官によると、東部ドネツク州の要衝であるバフムトに関してもウクライナ軍は進攻を続けており、ロシア軍がバフムトに部隊を増強し続けているとSNSで発信しています。ウクライナの陸軍司令官によると、ウクライナ軍はバフムトをめぐる攻防戦を続けており、ロシア軍はバフムトに兵力を集中させていると報じられています。バフムトに集中することで、ロシアはザボリージャ州の戦力を削り、困難な防衛線を築かざるを得なくなるでしょう。
クリミア半島を孤立させる計画か?
実際に、ウクライナ軍はザボリージャ州一帯の2つの戦線で反攻し、ウクライナの国防次官はSNSを通じて、ロシアの航空戦力と火力が優位であることを認めつつも、それぞれ約2キロメートル前進し、戦術的な成功を収めていると強調しました。ザボリージャ州をウクライナが奪還した場合、ロシアにとっては飛び地となっているクリミア半島が分断され、補給が遮断されることになります。このため、ロシア軍も激しく抵抗するでしょう。
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