2023年7月19日、ウクライナの南部港湾都市オデーサでロシア軍のミサイル攻撃が行われ、貯蔵インフラが破損し約6万トンの穀物が失われたとウクライナ政府が発表しました。ウクライナのミコラ・ソルスキー農業大臣はオデッサにおいて、相当な量の輸出インフラが稼働していないと指摘しています。
参考:ウクライナ港湾都市をロシアが攻撃、穀物6万トンが被害 輸出協定の失効翌日
ロシア、ウクライナ産穀物輸出協定を延長せず
この攻撃は、ウクライナ産の穀物輸出に関する国際協定の期限延長をロシアが拒否したことによるものです。協定の期限はトルコ時間の18日午前0時に切れ、それまでロシアは黒海に面するウクライナ支配地域のオデーサ、チョルノモルスク、ユージネ・ビウデンニの港からの穀物輸出を認めていましたが、失効後は攻撃対象となった模様です。
住宅や民間人が犠牲に
この攻撃により、オデーサと黒海沿岸のチョルノモルスクにある穀物ターミナルと港湾インフラが狙われ、少なくとも12人の民間人が負傷し、9歳の少年を含む複数の集合住宅も被害を受けました。ウクライナのゼレンスキー大統領は、このミサイル攻撃がウクライナだけでなく、世界中の正常かつ安全な生活を求めているすべての人々に対する打撃であると非難し、ドイツのアナレーナ・ベアホッグ外務大臣もロシアに対して非難の声を上げています。同氏はプーチン氏がオデーサを爆撃の雨で覆ったことで、ウクライナ産穀物に対する希望を奪い、世界で最も貧しい人々を襲っているとして非難しました。
ウクライナ軍の防空戦力の弱さが浮き彫りに
さらに、ウクライナ軍の対空戦力の弱さも露呈しています。ロシア軍によるミサイル攻撃では、黒海やクリミア、ロシア南部から巡航ミサイル「カリブル」や対艦ミサイル「Kh-22」などの神風ドローンが使用されましたが、ウクライナ軍はわずか37発のミサイルとドローンのみの撃墜に留まり、その航空戦力の脆弱性が浮き彫りになりました。
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