人生百年時代と言われる昨今ですが、年老いた後の人生をどうするか?で新しい悩みも出てきています。ところで皆さん、人間以外の動物は老後を迎える事無く、ほとんどが突然死するって知っていましたか?
老後が長いのは人とシャチとゴンドウクジラだけ
しかし、老後が長いとはどういう事でしょうか?学問的には老後とは、身体機能が衰え、生殖能力が無くなる事を意味します。人は男性なら高齢者になるほど精子の活動が衰え、女性は閉経を迎えて生殖能力を失います。データによると人と同じように老後が長いのは、シャチとゴンドウクジラだけであるそうです。
ほとんどの動物は生殖能力が無くなると突然死する
では、人とシャチとゴンドウクジラ以外の動物には老後はないのでしょうか?厳密に言うと、どんな動物でも死ぬ前には身体機能が衰えていきます。しかし、人間と違い、他の動物の老後は極めて短く、一瞬で老けて急速に身体機能が衰え突然死に近い形で死ぬそうです。
鮭や象も突然死
鮭は川から海に向い、成長すると産卵の為に生まれ故郷の川に戻りますが、産卵が終わると、急速に身体機能が衰え、故郷の川で死を迎えます。また、象は癌細胞でさえ体に広がらないほどの治癒力を持っていますが、死ぬ時には心肺が停止し突然死するそうです。このように人以外の動物にも老後はありますが、それは人から見れば、瞬く間であり長い老後ではありません。
どうして生き物は死ぬのか?
そもそも、どうして生き物は死ぬのでしょうか?これは種の多様性を増すためと言われています。すべての生物は細胞が分裂する際に、一定の割合でDNAが損傷していきますが、この損傷は寿命が長いほどに大きくなり、身体機能の低下という形であらわれます。身体機能の低下がつまり「老い」です。しかし、老いても死なずに生き続けるとなると、DNAに多くの損傷を受けた古い個体が新しい個体と交配する事になります。この場合、次世代にはDNAに損傷を多く持つ個体が生まれる事になり、種が生き抜く事が難しくなります。だから、多くの動物は生殖能力が失われた段階で用済みとなり、痛んだDNAを背負い死を迎えるのです。
DNAの損傷は必要不可欠
しかし、だとすればDNAが損傷しないように生物が進化すれば、不老不死になっても問題はないのではないかと思えてきますね?ところが、それは個体には良くても種には困った事なのです。何故なら、生物に爆発的な変化をもたらす突然変異はDNAの損傷によって、細胞が変化する事でもたらされるからです。もし、DNAに傷がつかないなら、突然変異は起きなくなり、やがて種の個体全てが同じDNAを持つようになり、種は滅亡してしまうでしょう。老いと死は個体には不幸ですが、種全体のためには必要な事なのです。
どうして人の老後は長いのか?
種にとっては、DNAに損傷が多い個体は、生殖能力が衰えた時点で死んでいくのが都合がよいと書きましたが、どうして人間とシャチ、ゴンドウクジラは例外的に老後が長いのでしょうか?どうやらこれは、この3種類が集団で子育てする事に関係しているようです。年老いた個体を殺さず、生殖能力を取り除いてDNAの破損を子孫に受け継がないようにした上で、孫の面倒を見させることで、群れの中で若い個体が生き残る確率が高くなる。そのため、人は老後が長くなったと言われています。
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