イスラエル軍がガザ地区に向けた本格的な侵攻を前に、混乱が続いているガザ地区住民に対し、新たな避難経路の設定が報じられました。しかし、イスラエルがガザへの侵攻に固執し続けることに対し、国際社会からの非難が高まっています。
ガザ地区北部に住む人々のための新しい避難経路
イスラエル軍は、ガザ地区北部で身動きが取れない状況にある住民に対し、南部への安全な避難経路を設けたと発表しました。この措置は、激しい空爆によってガザ地区のパレスチナ住民が被害を受けていることへの対応とされています。しかし、逆に考えれば、新たな戦闘がガザ地区で起こることを予告するもので、住民に対して「他の場所に避難せよ」とのメッセージでもあります。避難経路の利用時間は、日本時間で10月15日の午後4時から午後7時の3時間です。イスラエル軍の報道官は、この時間帯においては避難経路を使った作戦行動は行わないと説明し、ガザ地区の住民に対して、地上作戦が開始される前に南部へ移動するよう勧めています。
ガザ地区の住民にとっては行く場所がない状況
一方で、イスラエル軍による避難経路の設定については、責任を回避しようとしている、あるいはガザ地区住民の避難が難しい現実を直視していないとして非難の声も強まっています。ガザ地区の住民は多くが貧困層で食糧支援で食べている状態であり避難する場所もなく、避難勧告を受けても実行することが難しい状況です。また、イスラエルが非難を呼び掛けている人口は220万のガザ地区の人口の半数である110万人で、3時間と言う短時間で、これだけの人数が避難するのは物理的に不可能です。この避難経路設定は、イスラエル軍のガザ侵攻後に多くの住民が犠牲になることが予想したイスラエル側が「避難を勧めたが守らなかった住民が悪い」という責任転嫁の手段として取られたと考えられています。
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