福島第一原発からの汚染処理水放出に対する抗議として、中国は日本の水産物の輸入を完全に停止しました。このあおりで、従来中国で行われていたホタテなどの水産物の加工作業に対処する課題が浮上しました。それは、日本のサプライチェーンに直結する問題になったのです。
ホタテの殻剥きは中国でされていた
水産物輸入停止以前、日本のホタテの殻剥きは人件費が安い中国国内で行われていましたが、その作業もストップし、国内では氷漬けの殻付きホタテが大量に余る状況になりました。ホタテの殻剥き作業の単価は安く、日本国内では作業してくれる業者がありません。だからと言って作業単価を上げるとホタテの値段も上がり売り上げが落ちてしまうのです。
作業単価の安い受刑者作業に組み込もうとするが
そこで政府は刑務所の受刑者の仕事に「ホタテの殻むき」を加えることを検討していました。受刑者には法律で仕事を刺せることが義務付けされていて、その単価は市場の1/5程度と安く抑えられているからです。このホタテの殻剥きについては、メディアでも賛否両論で、もっと有意義な作業を受刑者にはさせるべきだとする意見もありましたが、結局、日本政府はホタテの殻剥き作業を受刑者の仕事に加える事を断念しました。
法的に受刑者のホタテ殻剥き輸出は厳しい
農林水産大臣の宮下氏によると、アメリカやカナダ等では刑務作業者による商品輸入に法的制限があることや、国内市場と輸出市場の商品分離に伴うコスト、労働環境の問題など、刑務作業をこれらの仕事に活用することが難しいとしています。さらに、宮下大臣は政府が今後も加工機器の導入を支援するなどし、国内の加工体制を強化する取り組みを続けるとしています。
サプライチェーンを守るため殻剥きを国内産業に
私たちが普段食べているホタテの殻剥きが中国で行われている事は、知らない人も多いのではないでしょうか?そして、その理由が殻剥きの作業単価が安く、日本国内ではやってくれる業者がないためというのも衝撃的です。これにより日本の漁業関係者が大打撃を受けている事を考えると、サプライチェーンを簡単に他国に任せるのではなく、国内で仕事として受けられるように加工体制を整備すべきでしょう。現在は手作業が主であるホタテの殻剥きを機械化して作業効率を上げ、国内産業と出来るように宮下農水相には頑張って欲しいですね。
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