宇宙航空研究開発機構(JAXA)の報告によると小型月面着陸実証機(SLIM)が1月20日に、日本初の月面着陸に成功したようで、現在状況を確認しているとの事です。月面への無人探査機の着陸に成功したのは、旧ソ連、アメリカ、中国、インドに次いで五ヶ国目となります。
なんのための月面着陸?
月面着陸と言えば、半世紀以上前の米ソの宇宙開発時代のアポロ11号を思い出しますが、今になって、どうして日本が月面着陸を試みたのでしょうか?実は、50年以上前の米ソの月面着陸競争と現在の月面着陸ラッシュは全く意味合いが違います。米ソの宇宙開発は、月面着陸の名を借りた大陸間弾道ミサイルの開発競争でもあったのです。その為、アメリカが世界で最初に月面着陸を成功させると大義名分がなくなり、宇宙開発は、より低軌道で実現可能な宇宙ステーション建設などにシフトしていきました。
現在の月探査は火星移住の第一歩
しかし、科学技術の急速な進歩により、宇宙開発がコスト的にも利益が出せるようになり、イーロンマスクがCEOを務めるスペースXのような民間企業が、宇宙ビジネスに続々と参入してきました。具体的に言えば宇宙ビジネスとは、火星を人間が住める惑星にするための準備です。どうして火星を目指すのに月を探査する必要があるのか?と言えば、月の重力は地球の1/6しかないので、月にロケット打ち上げ設備を建設すれば、ロケット打ち上げの燃料を安く抑える事が可能になるからです。
月にロケット発射設備を作る
月からロケットを打ち上げるには、月にロケット発射設備を建設しないといけませんし、作業に従事する技術者の宿舎やショッピングモール、映画館のような娯楽施設も必要です。そうなると、今から月探査機をどんどん月面に着陸させて建設資材を用意しないといけないでしょう。火星に人類を移住させるという天文学的な利益が期待できるビッグビジネスのために、先進国は次々と月探査機を打ち上げているのです。
JAXAのSLIMの性能は?
日本ももちろん、先進国の火星開発競争の波に乗り遅れまいとしています。今回、月面に着陸した探査機SLIMは開発を担当した三菱電機によると海外の探査機に比べ、着陸地点の精度を数キロメートルから100メートル感覚まで精密にした上、大幅な軽量化を図ってコストダウンを意識しているそうです。コストが安く狙った地点にピンポイントで着陸できる月面探査船が開発できれば、日本の月探査も急速に進む事でしょう。
まとめ
米ソの大陸間弾道ミサイル開発の隠れ蓑としての月面着陸から、人類の火星移住の布石としての月面着陸へ、半世紀の間に月を巡る環境も随分変わりましたね。もしかして、これから半世紀もすれば、人類は火星に住んでいるかも知れませんよ。
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