医薬品や生理用品で知られる小林製薬が開発・販売した「紅麴コレステヘルプ」を摂取した13人が腎疾患を発症し、同社は製品の自主回収に踏み切りました。患者の最初の報告は1月中旬でしたが、小林製薬の製品回収はその2カ月後の3月中旬と大幅に遅れました。なぜこのような対応の遅れが生じたのでしょうか?
健康被害をもたらした「紅麴コレステヘルプ」
健康被害を引き起こし、自主回収の対象となったのは、小林製薬が販売した「紅麴コレステヘルプ」です。このサプリメントを摂取した人々から、腎疾患などの健康被害が相次いで報告されました。今年1月以降に被害が報告され、入院6人(そのうち5人は退院)、通院7人の事例が起こり、小林製薬は健康被害を引き起こしたサプリメントに使用されたすべての「紅こうじ」原料などのデータを調査。3月22日に「未知の成分」の存在が示され、自主回収に至りました。小林章浩社長は、原因物質の調査に時間がかかり、自主回収の判断が遅れた理由を説明しています。
紅麹菌が産生する有毒物質「シトリニン」が検出されなかった
自主回収の判断を遅らせた一因は、最初の検査で紅麹菌が産生する有毒物質である「シトリニン」が検出されなかったことです。原因が特定できない中では、自主回収が難しく、個々のアレルギーが疑われる事態も生じました。しかしながら、腎疾患患者の報告が増加する中、小林製薬は3月22日に、カビなどに見られる「未知の成分」が原料に含まれていることを確認し、原因は不明であるものの、被害の拡大を鑑みて自主回収に踏み切りました。
未知の成分が混入した原因は不明
では、「紅麹コレステヘルプ」に含まれていない未知の成分がなぜ混入したのか。小林製薬の山下健司執行役員(製造本部長)は、工場では厳重な入室管理が行われ、特定の従業員しか入室できないと説明しています。人為的な異物混入の可能性を否定したものの、工場の品質管理には問題がある可能性は高く、今後も小林製薬は厳しい対応を迫られるでしょう。
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