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十二単は12枚ではない?[NHK大河ドラマ光る君へ予備知識]

2024年5月8日


紫式部(女性)

 

 

NHK大河ドラマ「光る君へ」には、戦国時代の大河のような合戦シーンはありませんが、それに負けず劣らず予算がかかるのが平安絵巻を彩る豪華絢爛な衣装です。そして平安時代と言えば、十二単ですが、実は光る君へでは数えるほどしか登場していないって知っていましたか?今回は十二単の正体について解説します。

 

 

 

監修者

ishihara masamitsu(石原 昌光)kawauso編集長

kawauso 編集長(石原 昌光)

「はじめての三国志」にライターとして参画後、歴史に関する深い知識を活かし活動する編集者・ライター。現在は、日本史から世界史まで幅広いジャンルの記事を1万本以上手がける編集長に。故郷沖縄の歴史に関する勉強会を開催するなどして地域を盛り上げる活動にも精力的に取り組んでいる。FM局FMコザやFMうるまにてラジオパーソナリティを務める他、紙媒体やwebメディアでの掲載多数。大手ゲーム事業の企画立案・監修やセミナーの講師を務めるなど活躍中。

コンテンツ制作責任者

おとぼけ

おとぼけ(田畑 雄貴)

PC関連プロダクトデザイン企業のEC運営を担当。並行してインテリア・雑貨のECを立ち上げ後、2014年2月「GMOインターネット株式会社」を通じて事業売却。その後、「はじめての三国志」を創設。戦略設計から実行までの知見を得るためにBtoBプラットフォーム会社、SEOコンサルティング会社にてWEBディレクターとして従事。現在はコンテンツ制作責任者として「わかるたのしさ」を実感して頂けることを大切にコンテンツ制作を行っている。キーワード設計からコンテンツ編集までを取り仕切るディレクションを担当。


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十二単の見分け方

清少納言 女性

 

 

では、ドラマにおいて十二単を着ている人とそうでない人はどう見分けるのでしょうか?これは割合簡単で、床をひきずる白い衣を着ている人は確実に十二単を着ていると断言出来ます。あれは、裳着と言って正装には欠かせない衣装だからです。例えば百人一首の紫式部も清少納言も白い衣を長く引きずっていますね?あれが十二単を着ている証です。

 

 

十二単は女房装束

源倫子 光る君へ 平安時代

 

 

大河ドラマを見ていると、中宮定子や東三条院のような上級の貴族や妃は十二単を着ていない事に気が付きます。じつは十二単とは宮中に仕える女房と呼ばれる女性たちのユニフォームであり、女房達以外は着る事はないのです。もちろん、清少納言や紫式部も家に帰ると十二単を脱ぎ、もっと寛げるカジュアルな服装に着替えていました。

 

 

十二単の分類

読み書きができた紫式部(はてな)

 

 

十二単は上から順番に4つの分類から出来ています。

 

唐衣(一番上に着る)

裳(床を引きずる白い衣)

五衣(五枚で赤から白にグラデーション)

単(肌着)

 

さて、この4種類ですが、いわゆる十二単は、真ん中の五衣の事を意味していて、唐衣や裳、単は除外されます。全体では8枚の衣装を重ね着する事になりますが、その重量は20kgに達するそうです。

 

 

十二単は十二枚ではない

朝廷(天皇)

 

ここまでの説明でも、お分かりになるかと思いますが、十二単は十二枚の衣装を着るという意味ではありません。単とは裏地がない着物を意味していて、唐衣、裳、五衣の中で裏地がないのは五衣だけです。つまり十二単は基本的には五枚という事です。では、どうして十二単と言うのか?という話ですが、これは数字の十二ではなく、十二分に着るという意味ではないかと考えられています。

 

 

二十単になったケースも

斉明天皇と海で取っ組み合いをする武則天(白村江の戦い)

 

では、十二単の美しさはどこにあるのでしょうか?これは、五衣のグラデーションにあります。五衣は唐衣の内側にあるので、見えるのは襟と袖だけですが、五衣は基本、一番上が紅梅色で、それが次第に白に変化するように重ね着しています。この袖色が次第に変化していく様子に、着ている人の色彩センスが出てくるのです。そのため平安時代後期には、少しでもライバルに差をつけようと五衣を10枚、15枚と重ね着する人も登場し、トータルでは二十単になったりしたそうですが、あまりに贅沢だという事になり平安末期には五衣は五枚に限定されるようになりました。

 

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kawauso

台湾より南、フィリピンよりは北の南の島出身、「はじめての三国志」の創業メンバーで古すぎる株。もう、葉っぱがボロボロなので抜く事は困難。本当は三国志より幕末が好きというのは公然のヒミツ。三国志は正史から入ったので、実は演義を書く方がずっと神経を使う天邪鬼。

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