皆さんは、一度加熱してゆで卵になったタマゴが生卵に戻るって聞いてどう感じますか?ゆで卵が生卵に戻る?手品じゃあるまいし、そんなバカなって思いますよね?でも、ゆで卵を生卵に戻す方法は、すでに発見されていて癌治療のコスト低下に活かされているそうですよ。
カリフォルニア大学アーバイン校の開発
ゆで卵を生卵に戻す方法を開発したのは、カリフォルニア大学アーバイン校です。本来、卵を茹でると、それまで透明で液状だった中身が白く凝固します。これは熱や化学反応でタンパク質が変性する事で起きますが、それを逆転して液体に戻そうとすると、約4日間も分子レベルの透析を行う必要がありました。カリフォルニア大学、アーバイン校は西オーストラリア大学の研究チームと共同で、熱変性したタンパク質を手軽に元に戻す方法はないか?と実験を開始します。
尿素とマイクロ流体薄膜で液状に
タンパク質の凝固は、長い分子が縮んで小さな塊になる事で起こるので、研究チームは、凝固したタマゴのタンパク質に尿素を加えました。どうして尿素なのか?それは、尿素分子にはタンパク質の変性作用があり、タンパク質分子の水素結合の間に入り込んでその構造を破壊し溶かす事が出来るからです。こうして柔らかくなったタンパク質の分子にマイクロ流体薄膜を通しながら、機械的な圧力を加えると、あらびっくり!タンパク質がほぐれて、ゆで卵が元の液状に戻ったのです。
タンパク質の再利用で医学コストを低減
このゆで卵を生卵に戻す技術、現代医学のコスト低下に役立っています。医薬品や制約の開発では、遺伝子組み換えの特殊なタンパク質を必要としていますが、これらのタンパク質は非常に高価でした。しかし、一度変性したタンパク質を再利用することで医薬品の製造コストを下げ、抗ガン剤などの製造プロセスを合理化、安価とすることができるのだそうです。ゆでタマゴを生卵に戻す技術は、世紀の大発見だったんですね。
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