ロシア軍のウクライナ侵略を妨げているものはウクライナ軍が設置した地雷です。ロシア兵は地雷を除去しながら進撃しないといけませんが、その作業は兵士がするしかなく、ウクライナ軍の自爆型ドローンに狙われ多数の被害を出していました。そこでロシア軍が今年の春から投入したのがウクライナ軍から「亀戦車」と揶揄される重装備戦車です。
亀戦車の概要
亀戦車は、地雷を地面からかきだして起爆させるローラーを前方下部に取り付け戦車の乗組員を自爆ドローンから保護するため、砲塔や車体を納屋のような即席のチェーン装甲で覆っています。亀戦車は全て装甲のフォルムが違うDIY感満載の造りであり、不格好な姿からウクライナ軍将兵の間で亀戦車と呼ばれましたが、地雷除去には効果を発揮しているのか、全長で1000キロに及ぶウクライナ前線のあちこちに出現しているようです。亀戦車は現在も増殖中であり、一部連隊では亀戦車用のパーツの提供を一般ロシア人に呼び掛けている状態だそうです。
言うほどではない亀戦車
一定の成果を挙げているDIY感満載の亀戦車ですが、それがウクライナ軍の脅威になっているかといえば疑問であるようです。すでにアメリカからの武器支援が本格化したウクライナ軍では、大砲やミサイル、空中投下擲弾で亀戦車を攻撃。さらに亀戦車が対処したと宣伝した地雷や自爆型ドローンでも亀戦車を破壊しています。
主砲は使えず前は見えないロシアクオリティ
6月上旬、ウクライナ第22独立機械化旅団は、T-62戦車改造型の亀戦車を乗組員2名と共に鹵獲しました。結果、亀戦車は前方の視界がほとんどなく、そればかりか砲塔は固定されて使用できず、弾薬も積まれていないので射撃も出来ない事を明らかにしました。この亀戦車は60年代の退役戦車をベースに改造され、新しい部分は無線機と対ドローン用の電波妨害装置だけだったとの事です。
透けて見えるロシアの物資不足
ロシア軍は、兵力の供給こそ損耗に追いついていますがウクライナ軍ドローンに破壊される軍用車両の損耗が生産に追い付かず、深刻な戦闘車両不足に陥っています。そのため、使える戦車はどれだけ古くても引っ張りだして、張り子の虎でもないよりマシとしているのですが、今回の亀戦車もその延長でしかないようです。
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