経済制裁は武力行使とは違い、その影響が見えにくいものです。また、資源国への経済制裁は、他国の反発を招きやすく、抜け道が作られることもあります。それでも、ロシアに対する経済制裁は効果を発揮し始めています。
切っ掛けはバイデン大統領
バイデン大統領が昨年12月に、ロシアの軍需産業と取引をする第三国の銀行をアメリカの金融市場から締め出す決定をしました。これを受けて、最初に中国の中小銀行がロシアの軍需産業との取引をやめ、今年の3月からは中国の四大銀行もロシアとの事業を見直し始めました。建設銀行と農業銀行はロシア国内の子会社の資産を縮小しています。アメリカの金融市場は世界最大であり、ここから締め出されると中国経済は成り立ちません。
ロシア対中輸出入がマイナスに
ロシアと中国の貿易統計では、中国への輸出は前年比1.1%増加と、前年下半期の8.3%増から減少しました。逆に中国からの輸入は4.1%減少し、前年割れに落ち込みました。ロシアの中国からの輸入依存度は40%を超えているため、これはロシア国内での物不足によるインフレ圧力が強まり、中国製品の価格が上がり買い控えが起きていることを示しています。
インフレが支持率下落に繋がるか?
ロシア中央銀行は、6月の声明で、アメリカの対ロシア二次制裁により貿易決済が停滞し、インフレ圧力が高まっていると述べました。外貨獲得が難しくなる中、中国からの輸入が難しくなれば、ロシア国内での物資不足が深刻化し、インフレ率が上昇し、ロシア国民の生活が圧迫されます。ウクライナ戦争ではロシア人は直接攻撃を受けずに日常生活を続けていますが、生活が苦しくなれば、戦争への不満が高まり、プーチン大統領の支持率が低下する可能性があります。
▼こちらもどうぞ
まるでゴルゴ13!ロシアがドイツ兵器メーカーCEOを[暗殺計画]