5月から続いたウクライナ軍の反転攻勢は、思ったほどの成果を挙げられませんでした。これに対し、ウクライナ軍は終わった、攻勢は失敗だとする論調が出てきています。確かに第一次反転攻勢は、大きな成果を挙げられませんでしたが、ウクライナ軍は失敗から学び、現在は、新しいやり方で以前よりも効率的に勝利を得ているのです。
失敗の原因はロシア軍の地雷にあり
本来、ウクライナ軍の反転攻勢は2023年の春に開始される予定でした。しかし、準備に手間取り、その間にロシア軍は防御を強化、特に大量の地雷がウクライナ軍の脅威になります。地雷原に突っ込む形になったウクライナ軍の戦車は大破し、あるいはロシア軍陣地の砲撃で次々に撃破され甚大な被害を被ったのです。
戦車中心から長距離砲中心にシフト
ウクライナ軍は反転攻勢の失敗を認め、戦術を大幅に変更しました。戦車を前面に出すのではなく、ロケット弾や長距離精密ミサイルのような射程の長い兵器を使い、ロシア軍陣地の奥深くにある弾薬倉庫や補給倉庫や司令部、榴弾砲やロケット砲を狙い撃ちにして徹底的に叩く戦術に転換したのです。こうして、最初に長距離兵器でロシア軍陣地を叩いて、戦闘継続能力を低下させてから、戦車と歩兵部隊を前進させる事で地雷を回避しつつロシア軍陣地を陥落させる事が可能になりました。
ウクライナ軍の進撃速度は加速している
実際に一時は、ウクライナ軍に失望のコメントを寄せた欧米諸国の司令官も、7月20日以降は打って代わり、ウクライナ軍の進撃が予想以上の速さで進んでいると評価しています。もっともロシア軍もウクライナの戦術の変化を指をくわえて見ているとも思えないので、こちらも戦術を切り替えてくる可能性はありますが、ウクライナが今後、一方的に負け続けるという事はなさそうです。
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