ウクライナのゼレンスキー大統領は7月30日夜、もはや戦争がロシアに到達するのは避けがたいと述べました。これは、同日早朝にモスクワがドローン攻撃を受けた事についてのコメントだと考えられます。これまでウクライナはロシア国内へのドローン攻撃への関与を公式には認めていませんでしたが、ここで大きく方向転換した模様です。
ゼレンスキー大統領がドローン攻撃を認める
ゼレンスキー大統領は訪問先のウクライナ西部イヴァノ・フランキスクからのビデオ演説でウクライナはますます強くなっていると強調し、ロシアは数週間でウクライナを占領できると考えていたが戦争は徐々にロシア領に戻りつつある。それもロシアの象徴や軍の基地へ、これは公平で不可避で当然の過程だと述べ、同日朝に起きたモスクワを攻撃したドローンがウクライナ軍によるものだと認めたかのようなコメントをしました。これまでもドローン機によるロシア領内攻撃はありましたが、ウクライナは関与を否定していました。今回はそれを暗に認めた形になり、戦争の将来についてウクライナが自信を深めたとも考えられます。
モスクワを狙う理由は?
今回のモスクワのビルに突撃したドローンは民間のオフィス街に被害を与えました。民間人を攻撃したと非難されても仕方ない事ですが、どうしてウクライナはモスクワを攻撃したのでしょうか?大きな理由は、ロシア国民に戦争が他人事ではなく、ロシアとウクライナとの間に起きているのだと分からせるためのメッセージだと考えられます。モスクワはウクライナ国境から500キロも離れ、モスクワ自体、ほとんど攻撃を受けた事がありません。
そのため、モスクワ市民にはウクライナ戦争は他人事であり、別世界の出来事になってしまっています。ウクライナとしてはロシアにドローン攻撃を加えて被害を与える事で「戦争は他人事ではなく、ウクライナ人を殺しているロシア人も当然、殺される可能性がある」と警告を発していると考えられます。
ロシア人の反戦決起を狙う
また、モスクワなど主要都市でドローンの被害が出続ければ、無意味な戦争でロシアに人的被害を及ぼしているプーチン大統領への批判が高まる可能性もあります。出来ればロシアの内側からの反戦運動で、プーチン大統領の戦争継続の意思を挫きたいのがウクライナ政府の意向と考えられますね。
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